鉄の馬で日本を駆けろ!
八月八日 大きな寄り道
国道沿いで野宿するのは厳しかった。通りを猛スピードで走り抜けるトラックの騒音と排気ガスで自ずと早く目が覚める。陽はまだ昇ったばかりの時間帯。これはいいように考えて、
「涼しい時間帯のうちに距離を稼いでしまおう」
と判断して、夜明けの国道を南から西、新潟方面に向けて走り始めた。
早朝には新潟に到着、国道7号線と8号線の繋ぎ目を通過する。国道一桁の繋ぎ目だけにここはかなりの大都市だ。因みに、国道1号線と2号線の繋ぎ目は大阪市の真ん中にあります。車線の数がものすごい。
* * *
今回の旅の目的は
47全都道府県上陸
である。このまま日本海沿いを進めば通らない県がある。それがこの辺りの県だ。というわけで新潟から進路を南に取り、長野県を目指す。
そして……。
地図を広げればわかるのだが、ここで大きな寄り道をしなければ前記の目標が達成できないのである。そう、長野県の東に横たわるのは群馬県だ。今ここで行かなければ足を踏み入れるチャンスがない!
地図で調べるとここから最短の県境である嬬恋峠まで片道30キロ!しかも登りだから相棒の負担は大きい、
「さあ、どうする」
「そりゃ、行くだろう。ここまで来たのだから」
自分が自分に問い掛けて答えた。ここはただの自己満足だからどうでもいいと言えばいいのだが、とことんまで馬鹿やってみたい。
というわけで片道30キロ、わざわざ県境に行くためだけに嬬恋峠に向かい、無事に群馬県入県を果たした。意味は……だが個人的にはテンションが上がった――。
* * *
峠を惰力でゆっくり降りて、長野市に到達。牛に引かれて善光寺参りをして、陽が落ちてから高速道路に乗って最初のSAで野宿をする。あー、今日もよう走った……。
* * *
本日到達した都道府県。
長野、群馬
(23/47)
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔