鉄の馬で日本を駆けろ!
八月九日 峠を越えて
山間部の朝は少しだけ涼しい。今日も一日こんな気温やったらエエのになあと淡い希望を抱くが今日の天気は快晴。ほぼ間違いなく気温が上がる。それもうだるくらい……。
「今日も無理せずマイペース」
を心がけて出発、松本のインターまで高速に乗り、進路を西へ「ニッポンの屋根」とも言われる山地を抜けて峠を越えて岐阜県に出て、それから富山県(日本海)に抜けようというのが今日の計画。峠をいくつか越えるので相棒の調子が心配である。吸気系の不具合があるので登りは特に注意が必要だ。それでも進むしか方法はないので、ゆっくりでもいいからとにかく西へ進もう。
相棒はがんばってくれた、後半噴けが悪くなって息が完全に上がっていたが何とか長野と岐阜の県境、安房峠を越える。峠を越えればあとは下り坂、単車も徐々に息を吹き返す――。下りた先に向かったのは岐阜県高山市。飛騨民族村へ行って「さるぼぼ」のお守りを買うことにした。さるぼぼというのは赤い人形型のお守り、魔よけ。顔は書いておらず、要は身代わりになってくれるというものだ。大学で友達が持っていたのをみて自分もほしいと思っていたものだ。自宅から北海道経由で手に入れたのも何とも面白いものである。ここで見た面白いものは、赤ちゃんの等身大のさるぼぼをバイクの後ろに同乗して走り行くライダーを見たことだ。子供を乗せてタンデムしてるみたいで滑稽だ。
それから進路を北へ、白川郷などのある富山県方向へ舵をとる。
合掌造りの建物は思えば小学生の時に社会の授業だけでなく、算数の図形の問題でも教科書にでたことで印象に残っている。町全体が田園地帯に合掌造りの家が並んでおり、建物が景色の一部になっている。とても美しい。と思っていたら後刻世界遺産に登録されたそうで、実際に見てきた僕は納得できる。住んだことはないけれどあの風景は「日本」なんだなと思うのが日本人の感覚なんだろうか。
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そして富山を越えて石川県に入り、金沢までは道路事情もよろしくすんなり到達。ここでは「日本三大庭園」である兼六園を訪ねる。水戸の偕楽園は数週間前に行った。そしてもう一つ、岡山の後楽園は別に行ったことがある。これで日本三大庭園制覇となった。兼六園の石灯籠の前で記念撮影。
今日はアップダウンの激しい峠道をいくつか越えた。相棒も疲れているので、早めに高速道路に乗り陽がくれるまでに石川県南端の尼御前SAに到着し、ここは無理をせずにここで野宿を決め込むことにした。
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本日到達した都道府県。
岐阜、富山、石川
(26/47)
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔