鉄の馬で日本を駆けろ!
八月七日 東北四大祭、その三
久しぶりの野宿。とはいえSAの東屋なので安全に寝ることができる。本州に戻ると夜は蚊が多く、バンダナを巻いて寝る。それと虫除け、これは手放せない。
今日は東北四大祭の第三章、山形の花笠まつりを見に行く。今回の旅では祭シリーズ最終章と決める。ちなみに残りの一つは仙台の七夕祭りである。今回の行程で仙台に立ち寄るにはあまりに回り道だ。ここは涙を飲んで日本海沿いルートを採る。旅はまだまだ長い、いつの日か行ってみたいという宿題を残した。
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秋田道、大曲SAを出て東北の背骨を南下、昼前には山形県天童市に到着。これで東北全六県上陸を果す。
天童といえば将棋の駒の産地。毎年人が駒役となって大きな棋盤で人間将棋をやっているところだ。子供の時から将棋に慣れ親しんだ僕は一度は行ってみたかったところだ。祭は確か4月、今日は誰もいない人間将棋の棋盤と上座の王将の石造を拝む。
昼過ぎには山形市内に到着。花笠まつりの開始まで時間があるので、ここは歩きで街を散策。銭湯にも入り気分はさっぱりだ。
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夕方になるとメインストリートは祭の準備が着々と進んでいる。暑い通りに熱い躍りの行列が通る。
青森で見たねぶた、秋田で見た干燈祭ほどの派手な演出はなかったけれど、これは多くの人が参加できそうで、これはこれで楽しい祭だった。
祭が終わる少し前に僕は山形を離れた。というのも祭が終われば帰っていく人の波で渋滞するらしく、それにはまってしまう前に街を離れる必要があったからだ。
駐輪場で休憩していた相棒を起こし、夜行を決断する。幸い街が動き出す前だったので上手く山形を脱出した――。
今日も高速道路のSAで野宿を決め込む予定が、道中に高速道路がない。距離は進むが時間が深くなるにつれ夜を進むトラックのスピードが上がる。国道は高速道路状態だ!
「これはちょっと危険かも」
と判断した僕は新潟県に入った最初の駅「越後片貝駅」のホーム下にある駐車スペースでベンチを並べてベッドを作り、そこで朝まで休むことにした。
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本日到達した都道府県。
山形、新潟
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作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔