鉄の馬で日本を駆けろ!
八月三日 突然の参加
決まりの厳しいライダーハウスをあとに出発。本当は根室まで行きたかったのだが、次の日(四日)に室蘭から青森に戻る船を確定したのと、相棒の調子がもう一つなのを理由に諦めることにした。またいつの日か来ると信じて僕は西に進路を採った――。
浦幌を抜けて日高山脈を横切ってふらのへ向かう。予定では明日室蘭から北海道を発つので、今日はここでライダーハウスを探すことにした。
富良野を北に抜け、上富良野町で見つけたライダーハウス「ヒグマ」を今日の拠点とする。宿の大将が
「5時半までに帰ってきてくれ」
というので、今はまだ2時頃、了解をして富良野のラベンダー畑や富良野駅、ワイン工場(飲まないけど)を色々見て回る。町全体がおしゃれだ。男一人で来るのがさびしいくらいに……。
理由は聞いていないが指定の時間に宿に戻ると、似たような年齢のライダーが集められ、
「よっしゃ、じゃあ行こうか」
と大将。一同何も聞かされておらず僕たちはトラックに分乗し町の商店街へ。
「さあさあ用意して」
と小さい商店の裏で用意されたのが、
ハッピ、ハチマキ、さらし
「これって、あれ?」
「そう、早よ着替えて!」
そう、この日は上富良野町で祭をしていたのだ。一同あれよあれよという間にハッピに着替え祭の会場へ。言われるがままに神輿担いで町中を行脚した。
ソイヤ、サー、ソイヤ、サー
ここの神輿はねぶたのような張り子で出来ていて、関西の人間にはあまり神輿という感じがしない。でもすることは同じ。町中を練り歩いたあと、広場で焼き肉(羊肉でした、さすが北海道)そして花火を見ながら大盛り上がりとなった。地元の人とも触れあい、同志である東京と山形から来た学生バイク乗りとすっかり意気投合し、上富良野の夜は遅くまで賑やかだった――。
作品名:鉄の馬で日本を駆けろ! 作家名:八馬八朔