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秋月かのん
秋月かのん
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第1章  9話  『色即是空』

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「ごめんごめん♪あれはボクも悪かったと思ってるよ。でも、嬉しかったんだ♪お兄ちゃんたちが美味しそうに食べてるのを見てたらね♪」

明日香は屈託のない満面の笑みでにっこり笑っていた。
う…。その笑顔は反則だ。これじゃもう何も言えないじゃないか。

「ヒナちゃん大丈夫ですか~!!」

ミナがパタパタと心配そうな顔をして俺の方に駆けてくる。

「ミナタン…あたしの心配は?」

お前の心配なんかしなくてもいいのさ。『馬鹿』の心配はな。…わかってきたなミナ。
そして、ミナはポケットから可愛らしい動物の絵が描かれたハンカチを取り出すと俺の顔をぺたぺたと汗を拭き取ってくれた。…あぁ、心が温まるね。

「あぁ、サンキューなミナ。ちょっと休めば大丈夫だ」

「本当ですか?ヒナちゃんの顔色が悪いですよ~汗もすごいですよ」

そう言ってミナは心配そうに目を潤ませながら俺の顔を覗きこんできた。…っておわぁ!
ミナ顔近いッ!っていうかいや待て、そして冷静になるんだ俺ッ!
まず、このドキドキがノンストップ状態な心を落ち着けよう。

よし、ちょっと落ち着いた。…っていうか何でドキドキしてんだ俺。
ミナはただ俺のことを心から本当に心配してくれてるんだぞ。何馬鹿やってんだ。
俺は妙な考えを振り払うかのように、そして、渇を入れるべく自分の顔をぱちんと叩く。

「きゃぅ!ヒナちゃんどうしたんですか?突然、顔を叩いたりして?」

「何でもないさ。大丈夫だ、気にするなミナ」

俺はミナの可愛らしい頭をなでなでと撫でてやった。

「あわぅ…何だか恥ずかしいです~ヒナちゃん」

そう言いながらも嬉しそうな顔で微笑むミナ。…あぁ、ホント和むなぁ。

「ふーむ。やはり…もう既に春斗はミナタンのフラグが立ってるようだネ☆これはもう高確率でミナタンルートへGOだネ~☆そんでもって、これでもう他のメス女どもの入り込む余地がないネ~☆」

あぁ~せっかくひとが和んでた矢先にこれだ。…誰かこの馬鹿娘にギャルゲー以外の人生の楽しみ方をティーチングしてやってくれ。頼むから。

「まぁこんな馬鹿はほっといて、そろそろ行こうぜ。ちょっと休んだら大分良くなったぜ」

俺はゆっくりと立ち上がると、腕を軽く1回転させてみせる。…うん、何とか大丈夫だ。

「本当ですね~!ヒナちゃん大丈夫そうですね!よかったです!」

「そんじゃ♪お兄ちゃんも元気になったみたいだしそろそろ行こっか♪このままじゃホントに遅刻しちゃう♪」

と言いながらも緊張感のかけらもない表情で、明日香はこの状況を楽しんでいるようだった。…まったく、明日香にかかればどんなことも楽しんじまえるんだな。そんな強心臓が羨ましいぜ。

「そうだよ~遅刻しちゃうよ~!急ごうよ~」

「そうだな。じゃ、少しペースを上げて行こうぜ~!さすがにもう走らなくても間に合う距離だからな」

「まぁね♪それにお兄ちゃんもそれじゃもう走れないもんね♪じゃ、急ぎつつゆっくり行こうよ♪」

明日香…。それはどういうペースで歩くんだ?…想像すると何だか足がつりそうだぞ。
急いでるのにゆっくりなペースで歩く…。うわぁとと!危ねぇッ!想像の中とはいえ転びそうになっちまった。

「…ハルちゃん、また変なこと考えてたでしょ~?」

冬姫はじとーっとした目で俺を見つめていた。…ってだから何でわかるんだよ!?
もしかしてエスパー?…ってこのネタは前にやったな。危ない危ない。

「…まぁそれはいいとして」

「お兄ちゃんがスルー♪……図星だったんだね♪」

「やっぱり~」

「え?そうだったんですか?ヒナちゃん」

「うがぁーッ!明日香ぁッ!そんな余計なこと言わんでいい!」

「あははは♪お兄ちゃんがわたわたと慌ててる♪あははは♪」

明日香は目に涙を溜めながらお腹を抱えてケラケラと笑いこけていた。

「こらーッ!もう許さんッ!待てーッ!明日香ぁッ!!」

「うわぁ~お兄ちゃんが飢えた狼みたいなケモノの目でボクを追いかけてくるよ~!逃っげろ~」

「誤解を招く発言はやめいーッ!!そのふざけた根性を俺が修正してやるーーッ!!待てーッ!!!」

俺は笑いながら逃げる明日香を追いかけるべく全速力で明日香の後を追いかける。

「ヒ、ヒナちゃん~!…あぅ~行ってしまいました」

「もう~!ハルちゃんも明日香ちゃんもしょうがないんだから~」

「私たちだけになってしまいましたね。冬姫さん、どうしましょうか?」

「そうだね~。私たちも追いかけよ~ミナちゃんは大丈夫?」

「はい!私は大丈夫ですよ~体力には自信ありますから」

「そうなんだ~。じゃ、追いかけよう~!」

「はい!」

そして、ミナタンと冬ゆんも春斗たちを追いかけて行ってしまったのであった。

「あの~あたしまだここにいるんだけど~。何で誰も気づいてくんないのかな~新たな放置プレイ☆かな~」

それはそれで何だか痛いんだけど~。…ここらへんが。
誰か思い出して戻ってきてくんないかな~。あのメンバーの中で一番のマスコット的なかえでさんがいないと誰でもすぐ気が付くんだと思うんだけど…おかしいな。

「まさかッ!!これは最初から仕組まれたワナか?!」

確かに思い返すとそんな気がしてきたよ。あの春斗の奇怪な行動…。
うーん、そうに違いない。ん~っていうことは何…これは春斗が全ての元凶ってことになるネ。

「このーッ!!春斗~~ッ!!あたしを放置するなんていい度胸じゃないかい!!あたしを放置したこと今すぐ後悔させてやるからねーッ!うぉりゃああああぁぁぁああああ!!」

あたしも放置プレイに陥れた馬鹿春斗を追いかけるべく、みんなの後を追ったのだった。





「なぜ…俺がこんな目に…」

「だ、大丈夫ですか~ヒナちゃん!?」

ミナがおろおろして心配そうな顔で俺の心配をしてくれていた。

「何…とか…な」

俺は手をひらひらとさせて大丈夫だということをアピールする。
なぜ、ミナが俺のことをこんなにも心配しているのかというとさっきのことだ。
俺が明日香を追いかけて、ようやくとっ捕まえて明日香を修正していた。

そして、後からミナたちもやって来たのだが…。
まぁ、それはいいんだ。ミナたちが来たとこまでは…。問題はその後だ。
それから数分も経たずにもの凄い土煙とともに電光石火で現れたのは…かえでだった。

有無も言わさずにかえでは俺にとび蹴りをかまし、更にはかえでの究極奥義まで発動させ、俺に拳の嵐…いや集中豪華をくらうこととなったのだ。かえでの表情は怒りの壁を軽く打ち破っていて、恐怖さえ感じる恐ろしい形相でまるで般若のような顔をしていた。

…俺なんかかえでにしたか?
記憶にないんだが…っていうかむしろ俺がいろいろとされてるんだが。
そういえば何かかえで、怒りながら俺に何か言ってたな。

…何だっけ?よくも~あたしをプレイしたな~!だっけ…。
…何か違うような気がするな激しく。まぁいいか。
まぁそんなわけで俺は瀕死の重傷を負って今こうしてミナに付き添われているわけだ。

「しっかし、かえでも手加減ってものを知らん。俺だからこれで済んだものを他の一般人にやってもみろ。怪我だけじゃ済まんぞ」