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秋月かのん
秋月かのん
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第1章  9話  『色即是空』

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ミナは、心の底から微笑むようないい笑顔を俺に見せてくれた。

「あぁ、そうだな」

俺もミナにつられて微笑み返すのだった。




結局、俺の記憶の欠落の原因はわからずじまいだったが、まぁミナのあの笑顔が見れただけで今はよしとしようじゃないか。いつか、きっとわかるときが来るさ。それまで、俺は、今までと同じように普通に生活するとしよう。…っと、ちょいと訂正があるか。

自分がフォーリアとシェルリアの重要な鍵で、俺は魔法使いであることを自覚して、今までと同じように普通に生活しよう、こうだな。

「さて、今日もいろいろあって疲れたし、そろそろ寝るとするか」

俺は、ベッドから起き上がり、部屋の電気を消すと、再びベッドに倒れこむ。

「ふぁ~。眠い。この分だと、あと数秒で俺は夢の世界へ旅立ってしまうだろうな…きっと…」

と言っている間に俺は、速攻眠りに落ちてしまうのだった。





<表と裏、光と闇>



「はっ!貴様には失望したぜ…。もう少し楽しませてくれると思ったんだがな。所詮はこの程度…といったところか。…くだらん」

…何だ?これは…。何でミナが…、それに…ヒカリも…。
それに何で俺は倒れてるんだ?…それにこいつ…誰だ?ぼやけててよく見えん…。

「どうした?もう動けんのか?…つまらん」

何なんだよ?!…一体。何で俺は動けないんだ…。
…動けッ!!…動けッ!!!…動けよッ!!!何で動かないんだよッ!!!

「…へッ!!どうやらここでもう終わりみたいだなぁ~貴様はよ~。んじゃ、とっとと消えなッ!!!はあぁぁ~ッ!!!」

俺の目の前で何者かの手から邪悪な闇色に光り輝き、今まさにそれが解放されそうであった。
な、何する気だッ!やめろ…やめろーーーッ!!!

「やめろーーーッ!!……はぁ…はぁ…はぁ」

ってあれ…ここは…俺の部屋?
周りを見渡してみると朝を示すようにカーテンから太陽の光が漏れており、いつもの風景が広がっていた。…ということは今のは夢…だったのか。

「何だよ~夢かよ~。マジ死ぬと思ったぜ~ありゃあ」

でも、嫌な夢だったな、やられる前に目が覚めてホントよかったぜ。
マジで殺される5秒前…まったく朝からいや~な汗かいちまったぜ。頼むぜ俺の脳…。
おそらく、昨日のアレのせいだな。やれやれだぜ。

俺は濡れた服をパタパタさせて、身体に新鮮な風を送る。…あぁ、気持ちい~。
そして、俺はぐーんと大きな伸びをする。
-すると

「ハルちゃん~どうしたの~?さっき叫び声が聞こえたけど~大丈夫なの~?」

いつものふわ~んボイスな冬姫が心配そうな声で俺の部屋のドアを叩いていた。
そんな大きな声で叫んでたのか…。そりゃまぁ誰でも心配するわな。

「あぁ、大丈夫だ~。心配すんな~」

「ホントに~?ねぇ~ハルちゃん入るよ~開けるね~」

「ハルちゃん~…ってあ、本当だ。大丈夫みたいだね~」

控えめに俺の部屋のドアを開けると、冬姫は、俺が何ともなく無事であることがわかりほっと胸を撫で下ろし安堵する。

「だから言ったろ~大丈夫だって」

「むぅ~。だって…心配だったんだもん」

冬姫はむすっとむくれた顔をして、口を尖らせていた。

「それはお騒がせしやした」

一応心配してくれた冬姫に謝っておく。

「でも、何で叫んでたりしたの~?もしかして、怖い映画とかテレビ見てそれが夢に出ちゃったとか…だったりするかな?」

子供か!幾らなんでもこの歳になってその日に見た怖いホラーとか夢に出るかよ。
…でもまぁ、あれは似たようなもんだが。…まさに悪夢だ。

「実は、さっきちょっと寝ぼけててさ、ベッドから落ちちまったんだよ。それで、びっくりしてさ」

と俺が悪夢を見たことを悟られないように誤魔化す。…バレたら笑われるからな。
何としてでもこれは阻止せねば。…かえで辺りにバレたら大爆笑するだろうな。
くそ…考えただけでも腹がたってきたぜ!!…あとで一発でこぴんお見舞いしとくか。

「そうだったんだ~。もうハルちゃんったらドジだね~でも、これからは気をつけてよ~!怪我したら大変だからね~!」

「わかってるよ。これからはなるべく気をつけるよ」

悪夢を見ないようにな…。

「それじゃ~ハルちゃん、早く着替えて下に降りてきてね~。明日香ちゃんが朝ごはん出来たよ~って言ってたから急いであげてね~」

「へいへい、了解~。着替えたらすぐ行くって言っておいてくれ」

そうだな。明日香の美味い朝飯でも食ってさっきのことは忘れよう。

「うん。わかった~じゃ明日香ちゃんにそう言っておくね」

冬姫は、にこやかにほわわ~んな表情をしながら俺の部屋を後にしたのだった。

「さて、とっとと着替えましょうかね~」

俺は、ベッドから降りると汗でびしょびしょになった服を脱ぎ捨てて、学園に行く準備をするのだった。




「ハ~ルちゃ~ん!かえ~ちゃ~ん!急がないと遅刻しちゃうよ~!」

「はぁ…はぁ…。んなこと言ったってよ~!ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ」

「はぁ…ひぃ…ぜぇ…ぜぇ。もう無理~あたしダメ~」

俺とかえでは二人して息荒くその場にふさぎこみ、もう立てない歩けないな状況に陥っていた。

「お兄ちゃんとかえちゃんホント体力ないね♪それじゃ学校に遅刻決定だよ♪」

「「誰のせいだッ!!」」

珍しく俺とかえでの息がこんなときに限ってぴったりになった。
まぁそれはよしとして、何で俺たちが今こんな状況になったかっていうと何を隠そうここにいる明日香のせいなのだ。

それは、朝飯のときだ。
俺が明日香にあの一言を言っちまったことからこの事態に発展したのだ。

「おぉ~今日のこの味噌汁いつものと違って美味いな。明日香、もしかして味噌変えたのか?」

「えへへ♪気づいてくれたんだお兄ちゃん♪絶対気づかないと思ったんだけどなぁ~♪意外だったよ♪」

「…もぐもぐ。ん~そう言われてみれば~そんな気が。…もぐもぐ」

「気づくに決まってるだろ。毎日、明日香のこんな美味い料理食べてるんだからな俺は。だから、ちょっとした変化もわかるんだよ」

「そっか♪えへへ♪ほ~ら、ささ、お兄ちゃんもっとたくさん食べてね♪まだまだたくさんあるからね♪かえちゃんも遠慮しないでたくさん食べてね♪」

明日香は照れ隠しなのか俺たちに『これも初めて作ってみたんだよ♪』とか『これも食べてみてよ♪』とどんどん料理を薦めてくる。このときは、あぁ~明日香のヤツ料理のことに気づいてもらえてよっぽど嬉しかったんだな。

こいつにも可愛いとこあるじゃないか。…と楽天的な思いで明日香に付き合ってやっていたのだ。…だが、それが甘かった。明日香は俺たちが満腹でもう食べられない状態にもかかわらず
どんどん新たな料理を投入してくるわ、にこにこしながら俺が無理に食べてるのも知らないでじーっと嬉しそうに見つめてくるのだ。…これじゃ誰でももう食えねぇなんか言えないよな。

かえでなんか食べすぎて半分気絶してたからもう戦力にはならんかったからな。
そのおかげで、俺は残りの料理を全て気力で何とか食べ尽したのだった。
そんなこんなで今に至るってわけだ。