小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
つだみつぐ
つだみつぐ
novelistID. 35940
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

農薬の話

INDEX|7ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

2-4.内分泌攪乱物質としての農薬




 この項については現在の時点で私は正確な情報を伝える自信がない。
 とりあえずこれまでの私の知識から基本的な事項だけ簡単に述べておこう。(内分泌攪乱物質は俗に「環境ホルモン」と呼ばれるが私はこの俗称はかえってわかりにくく不正確なので使わない。)
 人間は発育の各過程で自ら性ホルモンを分泌する。体内の各部署に指令を与えるためである。内分泌攪乱物質はこの性ホルモンに似た構造を持っているため摂取すると誤った指令が送られたのと同じことになる。結果として成育が正しく遂行されない。生殖器の奇形や異常な性行動(脳への影響)などのほかさまざまな障害が報告されているが全体像はまだよくわかっていない。また、なぜ化学式も空間構造も違う物質を人間の体が性ホルモンと取り違えるのかも少なくとも私にはよくわからない。
 普通「農薬の毒性」を調べると、ppmという単位で記述されている。パーセントが百分の一であるようにppmは百万分の一を示す。しかし内分泌攪乱物質についてはppb(十億分の一)あるいはppt(一兆分の一)の単位で記述されている。つまり人体への影響は普通の毒性と比べると千倍から百万倍なのだ。(これはホルモンが「物質」であるより「情報」であるから。)とにかく信じられないほどの微量で影響がある、ということである。(ただしその影響は発育過程の中で胎児・幼児期など、性ホルモンによる指令が行われる時期に限定される。)
 だからもし農薬の中に内分泌攪乱物質が存在したなら、これまでの農薬に関する安全基準など吹き飛んでしまう。
 かつて厚生省が「環境ホルモンのおそれのある物質」という67物質のリストを発表し、その中に農薬が多数含まれていた。しかしその後精力的な調査が行われ全部が「環境ホルモンではない」と結論された。
 現在のところ農薬の中に内分泌攪乱物質が存在する証拠はない。存在しない証拠もない。
 
 現在「ダイオキシンは安全か否か」という論争が華やかであり、「環境ホルモンの危険性は環境派のデマ」という議論まである。中西純子教授(環境リスク学の第一人者)が環境ホルモン国民会議の座長に告訴されたり、彼女が「環境派」市民団体から誹謗・中傷を受けたりしている。(上記の告訴についての記録を読むと私は「環境派」のでたらめさに唖然とする。なお、裁判は昨年3月中西側の勝訴で結審した。http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/index.htmlより。)
 
 こんな現状だから現在の私に言えることはそう多くない。しかも「感想」のレベルである。
○「環境派」の「環境ホルモンの危険性」の議論は古くてあやふやな研究(中には研究者自身が後に否定したものもある)に依拠するものが多く見られ、中には拡大解釈や誤った引用も見られる。
○「反環境派」の議論の中には市民運動に対する憎悪に根ざしていると推測される感情的なものも多い。
○中西教授のいうように科学的研究に基づく「リスク評価」が必要である。
○現在の私にはどの程度のリスクがあるのか判断できていない。
○もし農薬の中に内分泌攪乱物質が存在するのであれば(ダイオキシンのように「農薬ではないが農薬製造中にできる副成物」も含めて)禁止や残留基準の厳格化など、これまでと異なる規制が必要である。また、そのことがすでに私達の体や心(脳)に障害をもたらしている、という事態も可能性としては否定できない。

作品名:農薬の話 作家名:つだみつぐ