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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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帰れない森 神末家綺談5

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匂いが鼻をつく。生臭い。血の匂いだ。

「見れば、わかるだろう?」

立ち上がった影が、ゆらりと揺れた。その足元に横たわっている瑞の身体が見える。白い装束に滲んでいる、黒ずんだ赤。血の色。そして。

「・・・・・!!」

瑞の身体は損壊している。腹、胸、腕、肉がえぐれて骨が見えている。

「教えてやろうか、食っているんだよ」

影が振り返った。こちらに向けたその顔は、伊吹のものだった。血まみれの手と口元。ニタ、とくちびるを歪めたもう一人の自分は、おかしくてたまらないというように哄笑した。

「あはははははははははは!!ははははははは!!」

夜に反響するその声。天地がぐらりと揺れて境界を失っていく感覚。

「な、んで・・・」

俺が、瑞を食っているんだ・・・。瑞を殺したのは、俺なの・・・?
伊吹は頭を抱えて屈みこむ。がんがんがん。頭が痛い。笑い声が耳を切り裂く。

さく、と目の前に草を踏む足音。ぴたりと哄笑がやみ、伊吹は顔をあげた。

もう一人の自分は消え、目の前に立っていたのは瑞だった。血まみれの姿で、長い髪の隙間から、虚無の瞳が伊吹を見つめている。死んでいた瑞が・・・。

「あ・・・あ、」

言葉も出ない。立ち上がることも。