帰れない森 神末家綺談5
(何してるかな・・・瑞)
昨夜の電話を思い出す。優しい声が、耳に蘇る。
(大丈夫なんて言っちゃったけど・・・会いたいなあ・・・)
ごろりと転がって、畳に顔を押し付ける。
・・・いつもみたいに意地悪く笑ってるとこ見たいな。そうしたらこんな不安、一時的にではあるけれど、きっと吹き飛ぶのに。
そんなことを思っているうちに睡魔に包まれていく。昨日あのあと、殆ど眠れなかったせいだろうか。やはり疲れているのかもしれない。
(やば・・・お昼ご飯行かないと、また紫暮さんが心配する・・・)
目蓋が重い。指先が弛緩して、力が抜けていくのがわかった。眠りがやってくる。抗えない力に引き込まれていく。
作品名:帰れない森 神末家綺談5 作家名:ひなた眞白