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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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帰れない森 神末家綺談5

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瑞は泣いているのかもしれなかった。抱え込んだ頭が熱い。声を殺して震えているその背中を、ありったけの思いをこめてさする。

ああ、こうやって願ったことが昔にもあった。名前をつけたときだ。
どうか悲しみに暮れることがないように。どうかいつのときも、彼に幸福が降るようにと。

「一緒に待とう。伊吹が帰ってくるのを」

頷く気配を感じた。
いじらしく、この不器用な魂を愛おしく思った。
そしてやっぱり、穂積は繰り返し反芻するのだ。

何があっても、この子の願いを叶えてやろうと。

そのために自分は生まれた。
そのために伊吹は、この時代で瑞に出会った。

それは宿命であり、必然だ。

ならばもう、何も恐れまい。







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