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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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幸福の手紙ですよ

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 僕は誰が出したのか解らないのだからと、電話局の電話帳からあてずっぽうに、5人を選んだ。
前川祐二。安西百合子。八田信行。本田丸子。宮崎あおい。
さすがに、宮崎あおいには驚いたが、その方は北海道であった。それで僕は安心した。心の片隅には宮崎あおいさんには迷惑はかけたくないと思っていたのかもしれない。憧れの女優さんであった。
 はがきに5人の住所を書き、幸福の手紙の文面をそっくり書いた。この時は罪悪感などはなかった。2つの不幸が手紙を出さなかったことから、訪れたと信じはじめていたからである。
 ぼくは大学を卒業した。都市銀行に就職出来、恋人との交際も順調であった。
 ある日、不良債権の整理をしていると、八田信行の名前が出た。僕は忘れる事が出来ないでいた5人の名前であった。住所も手紙を出した所であった。プラスチック成型業。負債額は2億円である。僕は手紙を出してしまった後悔の念にかられた。そしてあとの4人の方の事が気になって来た。


作品名:幸福の手紙ですよ 作家名:吉葉ひろし