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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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幸福の手紙ですよ

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幸福のお手紙です。ただしこの手紙をお読みになってから、24時間以内にこの文面と同じ手紙を5人の方に出して下さい。4人ですと足りない1人分の不幸が訪れます。3人2人1人と不幸は多くなるのは当然です。無視されても良いのですがそのようなことはお勧めできません。その時はあなただけではなく家族にも不幸が訪れるからです。

 ぼくがこの手紙を観たのは高校3年生であった。大学受験の半年前の夏休みの終わりの頃であった。僕は最初は彼女からと思って封を開けた。幸福の・・迄は胸の高まりを押さえる事が出来ないほど、次の文字を観たかった。読んで行くうちに悪い冗談だなと思いながら、ギャップの大きさに破り捨てた。
 祖父が69歳で亡くなったのはそれから1カ月あとであった。それまでは元気であったから、僕は嫌な感じであの手紙を思いだした。しかしこんな冗談じみた事の仲間にはなりたくはなかったから、忘れようと思った。
 次には僕自信が志望校の大学に不合格となった。模擬試験の判定では余裕で合格するはずであった。東京のホテルで体調を崩し、下痢をしたのだ。自分では下痢が原因と思いながらも、気持ちのどこかでは、またあの手紙の事が気にかかっていた。

作品名:幸福の手紙ですよ 作家名:吉葉ひろし