料理に恋して/カレー編
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最近はCMにも出てる、
すけりんに出くわす。
わたしは友達になるより、
対抗意識を燃やす。
並んで横を歩く。
艶を競う。
スケート部に友達はいても
それ以外じゃ、すけりんに
友達はいないみたい。
有名人故に浮いてしまい、
人気はあっても
みんなから、わいわいされても
本当の友達はいなさそう。
*
みんな、横のわたしを見てる。
わたしは競歩気味になり、
すけりんを追い抜く。
おバカなすけりんでも
気付いたのか、スピードを上げる。
いかんせん、出足で
差を付けていた。
「ミス関大はわたし」
坂の上のゴールまで
僅差で先に到達したのは
わたしの方だった。
「勝ったわ」
汗まみれになっていた。
すけりんが悔しそう。
無視などせず、
対抗してくるとこに
好感が持てた。
きれいだけど、
喋るとバカっぽいって
世間の評判から、
「ずっとずっと成長してそう」
さすがここの学生。
「母校の誇り」
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「はあはあ」
校舎の陰で息が上がる。
我慢していたので余計。
体力は四十才みたいだった。
あの小亀、手を抜きやがって、
「助けた恩も知らないで」
ろくな大人にならないわ。
「はあはあ」
喘いでいると、
エッチな気分に移行する。
微妙に色合いが変わる。
「はあはあ」
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わたしは目を見張った。
結構、美形の女の子の方が
ラブラブ視線を
送りまくっていた。
「あんな熊のぷーさん、
どこがいいの」
ぬいぐるみにはいいけど、
彼氏にするのは躊躇。
「節制しろよな、お前」
と口出ししたくなるほど。
そのまま、やり過ごそうとして、
わたしは肩越しに
もう一度、見てしまう。
子宮が脈動する。
ターゲットは決まった。
横取りできるか、
自分の魅力を試したかった。
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四十才に戻ったわたしは
トイレの鏡に見入る。
バカでも若い時に
返れる方がよかった。
再チャレンジのない国。
一度、レールから外れると、
次々と外れ続けるしかない。
外れても
再チャレンジできる人はいい。
できない多くの人々。
わたしは潤いのない顔を
水で何度も洗う。
仕事の再チャレンジより、
恋の再チャレンジ。
作品名:料理に恋して/カレー編 作家名:紺や熊の