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料理に恋して/カレー編

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         25

 最近はCMにも出てる、
 すけりんに出くわす。

 わたしは友達になるより、
 対抗意識を燃やす。

 並んで横を歩く。
 艶を競う。

 スケート部に友達はいても
 それ以外じゃ、すけりんに
 友達はいないみたい。

 有名人故に浮いてしまい、
 人気はあっても
 みんなから、わいわいされても
 本当の友達はいなさそう。

         *

 みんな、横のわたしを見てる。

 わたしは競歩気味になり、
 すけりんを追い抜く。

 おバカなすけりんでも
 気付いたのか、スピードを上げる。

 いかんせん、出足で
 差を付けていた。

「ミス関大はわたし」

 坂の上のゴールまで
 僅差で先に到達したのは
 わたしの方だった。

「勝ったわ」
 汗まみれになっていた。
 すけりんが悔しそう。

 無視などせず、
 対抗してくるとこに
 好感が持てた。

 きれいだけど、
 喋るとバカっぽいって
 世間の評判から、
「ずっとずっと成長してそう」

 さすがここの学生。
「母校の誇り」


         26

「はあはあ」

 校舎の陰で息が上がる。
 我慢していたので余計。

 体力は四十才みたいだった。

 あの小亀、手を抜きやがって、
「助けた恩も知らないで」

 ろくな大人にならないわ。

「はあはあ」

 喘いでいると、
 エッチな気分に移行する。

 微妙に色合いが変わる。

「はあはあ」


        27

 わたしは目を見張った。

 結構、美形の女の子の方が
 ラブラブ視線を
 送りまくっていた。

「あんな熊のぷーさん、
 どこがいいの」

 ぬいぐるみにはいいけど、
 彼氏にするのは躊躇。

「節制しろよな、お前」
 と口出ししたくなるほど。

 そのまま、やり過ごそうとして、
 わたしは肩越しに
 もう一度、見てしまう。

 子宮が脈動する。
 ターゲットは決まった。

 横取りできるか、
 自分の魅力を試したかった。


         28

 四十才に戻ったわたしは
 トイレの鏡に見入る。

 バカでも若い時に
 返れる方がよかった。

 再チャレンジのない国。

 一度、レールから外れると、
 次々と外れ続けるしかない。

 外れても
 再チャレンジできる人はいい。

 できない多くの人々。

 わたしは潤いのない顔を
 水で何度も洗う。

 仕事の再チャレンジより、
 恋の再チャレンジ。