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魔九志夢(まくしむ)のアド・ミス物語

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 梅雨明けし、いよいよ夏本番の頃のことでした。小学二年生のクラスで海水浴に行きました。児童たちも、そして付き添いの親たちも、いやママ友たちもバスに乗った時からテンションが上がってました。1時間ほど走り、松林を抜けると、水平線上にモコモコと雲が立ち昇る碧い大海原が広がっていました。そして足下にはさらさらとした白い砂浜が岬へと伸びていました。

 仲間はいつもの6人、すなわちガキ大将の魔九志夢(まくしむ)に泣き虫の麻里鈴(まりりん)、ヤンチャ坊主の安渡玲(あんどれ)とお転婆の織美亜(おりびあ)、そして引っ込み思案の剣斗(けんと)におしゃまな伽沙凛(きゃさりん)、みんな大はしゃぎです。なぜなら海で泳ぐなんて、いや浸かるなんて初めてだったからです。

 しかし、案の定でした、浮き輪を着けて海に入れたのは魔九志夢と安渡玲と織美亜の3人だけ。残りの3人は寄せ来る波が怖くって、波打ち際でパシャパシャと遊ぶだけでした。
 これでは面白くありません。そこで魔九志夢が「向こうへ行って遊ぼう」と松林を指差しました。それに、今までベソをかいていた麻理鈴が「私、そっちがいい」と走り出しました。それをみんなで追い掛けました。