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最後の孤島 第2話 『世界一の国から』

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【ダニエル】(1)



 ヒナ・クラノ(倉野比奈)という名前の彼女は、何かを考えながら、砂浜でサンゴ礁探しをしている。この炎天下の中、よくやるな。オレは、ヤシの木の下で休ませてもらう。
 あのバッグの代金代わりであるサンゴ礁を集めているようだけど、バイロンは品物を早くよこせとか言い出す人間じゃないし、そもそも、あんなサンゴ礁集めはありえない……。
 いくら嵐の後とはいえ、この砂浜は海流の関係で、サンゴ礁がほとんど流れ着かないのだ……。そのことに気づかずに、サンゴ礁を探し続ける彼女……。ちなみに、サンゴ礁はセメントの原料として使われる。

「ヒナ! そこでサンゴ礁集めはちょっと無理があるよ!?」
見かねたオレは、彼女にそう叫ぶしかなかった。このままでは、日が暮れるのをここで待つだけだ。
「ありがとう! 他を探してみる」
彼女はそう返事を返すと、周囲をキョロキョロしていた。
 どうやら、オレが伝えたかった『その砂浜はダメ』という言葉を、『その場所はダメ』と誤解したらしい……。言葉って難しいな……。

「こっちこっち!」
すっかり見かねたオレは、彼女をある場所へ案内することにした。日影から出た途端、熱された細かい砂が、まだ拾ったばかりの靴裏を軽々と通り越し、足裏に高熱を伝えてきやがった……。「熱い!」というマヌケな悲鳴をあげそうになる。
 彼女を案内する場所は、今の彼女にはピッタリの砂浜だ! その砂浜はサンゴ礁だらけで、あっという間に集めることができるだろう。たくさん集めすぎたら、それはそれで困るが……。


 子供でも乗り越えられる高さのこの岩場を越えれば、その砂浜だ。心配だったが、彼女はちゃんとオレについてこれている。サンゴ礁だらけの砂浜を見た彼女の反応が楽しみだ!
「さあさあ、ヒナちゃん! そこで好きなだけ集めちゃいな!」
すっかり調子に乗ったオレは、振り向いて両手を広げる。オレの後ろには、サンゴ礁だらけの砂浜が広がっているはず。

「…………」

 しかし、彼女は無反応だ……。それどころか、怪訝そうな表情だ……。とりあえず、砂浜のほうへ向き直ってみる。

 砂浜に1隻の船が打ち上げられていた……。船が座礁するのはよくあることなので、今さら驚かないが、タイミングが悪すぎる……。