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最後の孤島 第2話 『世界一の国から』

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【倉野 比奈】(3)



 あの傲慢なアメリカ人ジョーは、海に浮かんだクルーザーに乗りこむと、私たちにキザな別れの挨拶をしてきた。
「諸君!!! 我々アメリカ人に不可能など無いのだ!!!」
たしか、こんな感じだ……。聴衆である私たちは、ポカンとするか苦笑するかしかなかった……。

 ジョーは、そんな聴衆の反応には気づいていない様子で、クルーザーを出航させた。浜辺に立つ水しぶき。
 クルーサーはどんどん加速していき、猛スピードで島から離れていった。もう叫んでも無駄だろう。命の危険があることなど……。


「嫌なアメリカ野郎だったな」
クルーザーがほとんど見えなくなると、ダニエルが声をかけてきた。ジョーが私に返した傲慢な言葉が、気に食わなかったようだ。
「あの人、どうなっちゃうのかな?」
「知らないよ。もし生きて戻ってきたら、笑い飛ばしてやろうぜ!」
ダニエルは不謹慎なことを言ったが、注意せずにいられないということはなかった。
「体を動かしたら、お腹がすいちゃったよ! バザールに行って、何か食べようぜ!」
彼はお腹をさすって、空腹であることをアピールしてきた。
 あのクルーザーを動かす手伝いをしたので、私もお腹がすいていた。バザールに行けば、タダでバナナとかを食べられる。
 食べ終えたら、さっきのサンゴ拾いを再開しようかな?