小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

後宮艶夜*ロマンス~皇帝と貴妃~【後編】

INDEX|9ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

 今回、皇帝が?玉蘭に与えようとしている淑妃というのは、貴妃のすぐ下だ。同じ高位の妃でも四妃の中では貴妃が筆頭、それから淑妃、賢妃、華妃と続く。同じく、その下の嬪、容、媛、才人にも位の上下がある。
「それよりも」
 法明はすっかり気まずくなってしまったその場の雰囲気を変えたいのか、いきなり話題を変えた。
 言いかけた法明がわざとらしく咳払いする。
「それよりも、芳華。お前は竪琴の名人だと聞く。一度、その腕前を俺に聞かせてくれ」
 そういえば、と、芳華は思い出す。法明と出逢ったのも、そもそもはそこが始まりだった。皇帝が芳華の竪琴を聞きたいと言い出して、それで芳華が逃げ出した。もっとも、その当の皇帝というのは法明その人だったのだが。
 しかし、どういうわけか、この時、芳華は素直に?はい?とは言えなかった。
「今度、陛下がお召しになる玉蘭さまは当代の竪琴の名手と聞いております。私はほんの手すさびにつま弾く程度、玉蘭さまの足許にも及ばないでしょう。畏れながら、陛下も当代の笛の名手とお聞きしておりますゆえ、お二人でお合わせになれば、さぞ聞く者は涙を流さんばかりのものになるかと」
 我ながら、嫌な女だと思った。しかも、この言い様では、はっきりと法明と玉蘭の仲を嫉妬しているようなものではないか。玉蘭はまだ入内もしていないのである。それなのに、こまで皮肉を言うのは、たしなみがなさすぎる。
 芳華は自分で口にしておきながら、恥ずかしさに頬が熱くなった。しかし、これは皇帝を激怒させるには十分過ぎたようだ。
「良い加減にしろ、嫉妬は見苦しいぞ」
 芳華は相手が皇帝であるのも忘れて言い返した。
「嫉妬なんかしてません。第一、何で私が嫉妬しなきゃいけないの? 嫉妬って、普通、好きな男にするものでしょ」
「おい、お前!」
 法明が蒼白な顔で怒鳴った。
「お前、この期に及んで、そういうことをいうか」
「あなたは皇帝でしょう。皇帝は幾らでも好きなだけ妃を持てるんだもの。後宮の女は皆、あなたの命に従わなければならないわ。あなたこそ嫌みよ、いちいち新しい妃を迎える度に、私に意見を言わせるつもりなのかしら」
「そんなことはどうでも良い。お前は俺に惚れてるんじゃないのか? お前は好きでもない男の子を孕んだのか!」
 こうなると、もう売り言葉に買い言葉である。
「そんなのは知らない。私が好きだったのは文法明さまで、皇帝陛下じゃないもの」
 次の瞬間、芳華はいきなり抱き上げられた。
「判った、皇帝は後宮の女を好きにして良いのなら、俺はお前を好きなようにする。もう我慢なんかするもんか」
「法明?」
 芳華は恐る恐る彼の名を呼んだ。だが、彼は返事もせず、芳華を抱えたまま大股で庭を歩いていく。牡丹園を横切り、彼が芳華を連れ込んだのは後宮の今は使われていない一角のようであった。
 何しろ妃が一人しかいない後宮には、空き部屋がごまんとある。無人の部屋は綺麗に掃除も行き届いている。たとえ使用されていない部屋でも宮女が毎日窓を開けて空気を入れ換え、掃除をしているのだ。
 が、やはり、主のいない部屋とはどこかさびれた荒廃した雰囲気が漂っているものだ。
 どの部屋も似たような造りだが、ここは貴妃である芳華の室よりは幾分狭く、調度類も簡素だ。あまり位の高くない側室の部屋なのだろうか。
 そんなことを考えていられる中はまだ良かった。法明は芳華を室に連れ込むなり、部屋の鍵を内側から掛けた。それから、芳華を使われていない寝台に放り投げる。それでも身重の芳華を気遣ったのか、極力手加減しているのは判った。
「法明、何をするつもりなの?」
 窓も閉め切った室内は昼間でもなお薄暗い。淡い闇が溜まった部屋で、法明の瞳が薄紫に染まり始めていた。
―怖いっ。
 芳華はいつもと違う雰囲気を纏う法明に恐怖を感じた。
「私が怒らせてしまったのなら、謝るわ。ごめんなさい、もう生意気は言わないから」
 法明は何も言ってくれない。芳華は倒れた体勢から身を起こそうとするが、哀しいかな、腹部が大きく出ているため、なかなか重心が取れない。ひっくり返された亀のようにもがいてやっと上半身を起こそうとしたのに、法明に軽く肩を押されただけで、呆気なく倒れ込んだ。
「何するの!」
 芳華は軽い非難を込めて言った。
「俺は皇帝だろ。皇帝は後宮の女を好きにして良いらしいから、これからお前を抱くのさ」
「―」
 芳華は蒼褪めた。
「法明、もう、お腹が大きいの。今はそんなことしない方が良いと思う」
「ちゃんと侍医に訊いてる。侍医は別に産み月までは俺の好きにして良いって言ってたぞ」
 法明は事もなげに言った。芳華は言葉を失ってしまう。法明が侍医にそんなあからさまなことを訊ねたのも衝撃だったけれど、今これから彼がしようとしていることの方がもっと怖ろしかった。
「何だよ、別に怖がることないだろう。俺とお前、さんざんヤッたんだぞ」
 そう言いながらも、法明は芳華の上衣を脱がせ、下裳、その下の下着と手慣れた様子で剥ぎ取っていった。
「震えてるのか? 良いな、怖がってる芳華を抱くっていうのもまた一興だ。お前の泣き顔って、実はそそられるんだ。今日はこれまで我慢した分、たっぷりと愉しませて貰うからな、覚悟しとけよ」
「お願い、許して。赤ちゃんが死んじゃう。こんなことをしたら、赤ちゃんが」
 芳華は泣きながら叫んだ。
「それにしても、でかくなったな、お前」
 法明は裸にした芳華の腹部を撫でた。
「しばらく見ない中に何かしっかり育ってやがる。けど、このでかさじゃ、確かに難儀だな」
 法明はすすり泣く芳華を再び抱き上げた。どこに連れていくのかと思ったら、今度は寝台の脇に置かれている肘掛け椅子に降ろされる。
「これで良し」
 法明は芳華の両脚を持って。これ以上はないというほど開かせた。両方の脚をそれぞれ椅子の肘掛けに掛けさせられると、もう芳華の恥ずかしい部分は真正面から丸見えになってしまう。
「法明、止めて、許して」
 芳華は泣きじゃくった。
「大丈夫だから」
 酷いことをしている割には、口調は優しいが、かえってそれが不気味だ。法明は前戯も何もせず、いきなり猛り狂ったそれを芳華の秘所に突き込んできた。
 しばらく身体を重ねていない秘所は慎ましく閉じていて、殆ど濡れていない。芳華はあまりの衝撃に切れ切れの悲鳴を放った。
「―っ、痛い」
「相変わらず、よく締まってるな。ほんの少し抱かなかっただけで、もう逆戻りしたってか? これだけ腹がでかいのに、処女みたいだなんて、面白いな」
 酷い科白を囁かれ、余計に涙が出る。彼の剛直でさんざん胎内(なか)をかき回され、陵辱の限りを尽くされた後、法明は再び芳華を抱き上げた。また寝台に戻され、今度は四つん這いになるように命じられる。
 皇帝の命令には逆らえない。芳華は泣き泣き両手をついて赤ちゃんが這い這いするような姿勢を取ったものの、怖くて仕様がない。
「法明、何をするの、怖いよ、怖い」
 今度も法明は一息で最奥まで入ってきた。何度も貫かれた後なので、今度はすんなりと彼女の内部は彼を受け容れた。それでも、受けた衝撃はかなりのもので、芳華はその瞬間、意識を飛ばしたほどだった。