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夏目 愛子
夏目 愛子
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Modern Life Is Rubbish ギリシャ旅行記

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11.アムス→フランクフルト→成田


 
 
2013年9月7日 土曜日

●1. フランクフルト
 早朝から、アムス発の列車に4時間乗って、フランクフルト空港まで行く。
 早朝のアムステルダム駅には、夜遊びからそのままドラッグ漬けという風の女の子、男の子たちが見えた。特に、とある20歳前後とみられる女の子は、足はふらふら、目は完全にトランス状態、誰彼かまわずよくわからないことを声をかけて歩いていて、なかなか危険な状態に見えた。しかしこれはおそらくアムスではごく日常的な光景なのだろう。
 
 列車の旅はいつでも楽しい。わたしは飛行機も好きだけれど、飛行機はどうしても一人旅の経験が多かったりある程度の危険や制限もあるので、なんとなくストイックに孤独を楽しむ時間というイメージ。列車はもっと、和気あいあい、景色も楽しめて、ゲームをしたり(飛行機でも人と移動するときは結局ゲームしたりするのだが)、そしてどことなくのびやかなイメージがある。経験的なものかもしれない。幼い頃、親に経験させてもらった「わんぱく列車」。子どもたちだけで、あとは知らないインストラクターがいて、隣の県の川などに遊びに行くのだ。これは、小学生の頃、弟と、幼馴染でピアノをずっと一緒にやっていたマリちゃんと、3人で毎年行っていた。それから、なんといっても大学時代のヨーロッパ女3人旅行。スイスからイタリア、イタリアからスイスを列車で移動して、怪しい人物を見かけたりして身の危険も感じながらも、とっても楽しかったな。

 フランクフルトまでは、どんよりとした曇り空で、窓の外は地味な風景が続く。二人でポーカーで遊んで、あとは少々眠った。ポーカーは、チップをもってきていなかったので、UNOのカードをチップ代わりにした。わたしと夫と、一回ずつ勝って、トータルは引き分け。
 
 フランクフルト空港で楽しみにしていたことがある。「deutsch」という白と水色のドイツ料理レストラン。以前、アメリカからの帰り道で、悪天候のために飛行機の乗り継ぎルートが急遽変更になり、アメリカから成田の間にフランクフルトを経由したことが一度だけあった。そのときにこのレストランで食べたソーセージ付きポテトサラダがなんともいえないやみつきになる美味しさだったのだ。ポテトサラダといっても、日本のポテトサラダのイメージとは全く違う。おそらく、マヨネーズは使っていない。ビネガーと、甘み(砂糖?)と、オリーブオイル、それからマスタードの味!色味としては、白ではなく、黄色。味はほどよく濃く、かといってアメリカの食事のような人工的な味でもない。
 おぼろげな記憶の糸をたどって、方向音痴のわたしががんばって道を切り拓く。
 と、ついに、その白と水色のスタイリッシュなお店は姿を現した!

 わたしはもちろん同じものを注文し(気に入ったら何でもとことん繰り返すタイプである)、夫は白ソーセージとザワークラウト。彼は白ソーセージはもちろん、そのドイツの白ビール、ヴァイツェンを大変に堪能したようで、うまいを連呼していた。もしかしたら、今回の旅行で彼にとっては最も味的には印象に残ったものかもしれない、そのくらいの感動のしようだった。

 そこから成田への道中は、写真も残っておらず、正直あまりおぼえていない。
 楽しい旅に浮かれすぎて、そして旅が終わることが悲しすぎて、おぼえてないのである。
 それでも成田に着いたその翌日から、会社に出勤し、日常はまた始まることは確かである。
 この旅が夢のようだったからこそ、日常がまた始まることがまだ信じられなかったことだけは覚えている。