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「そんなことはありませんよ。
　世の中、きっとなるようにしかならないものです。
　貴方たちがそれぞれ求めていたものの形がちょうどかみ合ったんだと思います。
　人の心なんて、仮面の向こうなんて、機会があって、覗いてみないとわかりませんから。
　うまく言って本当に良かった――と、私が思うことはそれだけです」


マスターがそういうと、そのタイミングで彼女が彼の腕にそっと自分の腕を絡めた。
彼は照れ臭そうに微笑むと、マスターの方に頭を下げて、彼女もそれに倣った。
マスターも会釈を返し、そして二人は店を連れ立って出て行った。
私がぽかんとしていると、マスターはちゃっちゃとカップを二つ引き上げて、洗い物を始めてしまった。
「マスター！」
はっと気が付いた私は思わずマスターに詰め寄った。
「一体何なんです？！アドバイスって？何事があればあんなことになっちゃうんですか？！」
するとマスターは意外なことでも聞いたかのように目を丸くして、少し何といえばいいのか考えるかのように眉間にしわを寄せた。
「そうだねえ」
そして、何やら思い出すような表情で、