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霧雨堂の女中(ウェイトレス)

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熱と女中と霧雨堂


汗ばみながら布団の中で、私はふうっとひとつ息を吐いた。
体が・・・熱いような寒いような。
ぶるっと身震いをしたまさにそのとき、脇の下からピピッという電子音が小さく聞こえた。
のろりと右手を伸ばしてそこに挟んでいた体温計を引き出す。
しかして、そこに刻まれていたのは「38.8」の数字。
目を閉じると自然に眉間にしわが刻まれるのが分かる。
お薬はもう飲んだし、あとは静かに横になって時が過ぎるのを待つばかりだ。
階下からは静かなピアノ曲が聞こえる。
マスターの選曲だろう。
一応、私のことを気遣ってくれているんだろうなと思うとほんの少し申し訳なくなる――――。