霧雨堂の女中(ウェイトレス)
「余計は百も承知でひとつだけ。
伝えるべきか悩むことがあるのなら、伝えるべきです。
結果を思い悩むべきではありません。
人生にはあらゆる不思議が満ちています。
今日出来ることが明日も出来るとは、誰にも保証など出来ないのです。
今、私はあなたの背中を適当に押しているのではありません。
それをすることには、向きも分からず誰かの背中を押すという行為には、私はほとほと懲りました。
でも、誰かの愛に応えることならば話は別だ。
愛に応えることは、どうやっても――たとえ、うまくいかなくても、長い目で見るならば結果は『前向き』にしかならないからです。
愛故に悩むことは、愛の力で解き放つべきです。
愛を枷にしてはいけません。
それに――相手は薄々分かってはいますよ、きっとあなたが思うまま、思うとおりに。
私、『サトリ』がいうのです。
その点については、絶対に間違いありません」
作品名:霧雨堂の女中(ウェイトレス) 作家名:匿川 名