詩集『気持ちを詰めて』
二 go forward
神戸で地震を経験しました
思えば成人式の二日後の早朝でした
あれからもうすぐ20年です
まだ昨日の事みたいに思い出すことがあります
成人式が今生の別れとなった人もいます
こちらに下宿して犠牲になった大学のクラスメートもいました
あれからもうすぐ20年です
これからもたぶん忘れないでしょう
酷な話かもしれませんが
辛い経験はこれからも記憶から消えることはないと思います
だけど悲しんではなりません
人間は、辛い経験を繰り返さないために学習をします
時にはそれを振り返り
見つめることで苦い経験を前に進む力に変えることができるなら
それは大きく前進するはずです
辛さは自身の弱さを知ることで克服できるものです
見えない将来に恐れるかもしれません
見失ったり、衝突したりすることもあるでしょう
だけど私たちは前を向いていたからこそ
様々な困難を乗り越えて、ここまでやって来たではありませんか
志を果たせずに
無念にも力尽きた者たちのためにできること
未来に向けて歩き続ける
それが彼らにとっての最高のハナムケなのです
今を生きる我々は
様々な人たちの思いや無念を引き継いで生きている
今日という日を大事にしよう
明日はどうかなんてわからない、あるのかさえもわからない
一人一人がそう思っているならば
苦い経験は未来に活かされる、そしてきっと昇華する
前へ go forward
できない問題ではないはずだ。あきらめなければ
作品名:詩集『気持ちを詰めて』 作家名:八馬八朔