詩集『気持ちを詰めて』
一 こいのぼり こいのぼり
こいのぼり こいのぼり
屋根より高くないけれど
ぼくのおうちのこいのぼり
団地のベランダのこいのぼり
大きいまごいはおとうさん
小さいひごいはぼくのこい
ぼくのために買ってくれたこいのぼり
屋根より高くないけれど
いちばん大好きなこいのぼり
ぼくのだい好きなこいのぼり
今はひごいは一つだけ
もうすぐ一ぴきふえるんだ
もうすぐ赤ちゃん生まれるよ
もうすぐぼくはお兄ちゃん
ぼくのひごいもお兄ちゃん
生まれてきたのは女の子
だからひごいはふえないんだって
ぼくは大声だしてなきだした
ほんとは弟がほしかったのに
妹ができたのがいやだった
だっていっしょにあそべない
だけどおかあさんがおしえてくれた
あなたに妹ができたから
こんどはひなまつりをしましょうね
こいのぼり こいのぼり
ひごいは一ぴきだけだけど
なくのはやめた もういいや
こいのぼり ひなまつり
ぼくのおうちはどっちもできる
妹が生まれてよかったよ
ひごいは一ぴきだけだけど
ぼくと妹ではんぶんこ
ついでにひなまつりもはんぶんこ
こいのぼり こいのぼり
屋根より高くないけれど
ぼくのだい好きなこいのぼり
作品名:詩集『気持ちを詰めて』 作家名:八馬八朔