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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  8話  『春斗覚醒』

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ヒナちゃんが無事で全てが終わったその後、私は、ヒナちゃんに謝って、そして、それから泣こう。すべてはそれからだ。

…ヒナちゃん、私が泣いていたらまた優しく頭撫でてくれるかな。

「とにかく今は学園に急ぎましょう」

私は、そんなことを考えながら急いで学園まで向かうのだった。

「はぁ…はぁ…はぁ」

学園に着くと、すぐに魔獣者の魔力を感知することができた。

「魔力の反応がするのは……あっちですね」

私は、魔力の反応がある場所がわかると、急いでその場所まで駆け出すのだった。
その場所に着くと、私の時と同じようにそこには結界が展開されていた。

「ここですね。急がないと」

私は、結界に向かって手をかざし、呪文を唱える。

「外界より隔たれし異世界の扉よ。その閉ざされた扉よ、我を導け」

私の唱えた呪文により私は結界の中に入ることに成功した。
そして、魔獣者とヒナちゃんが互いに向かい合って緊迫した様子が私の目に入ってきた。
よかった。ヒナちゃんまだ無事だった。

でも、よく見るとヒナちゃんは追い詰められていた。その証拠に魔獣者の手から魔力を籠めた光が今にも放たれそうだった。

このままじゃ、ヒナちゃんが危ない!助けないと!
そう思うと私は、ヒナちゃんを助けるべく急いでヒナちゃんのもとへ急ごうと駆け出そうとした。-だが

「…終わりだ」

無常にも私がヒナちゃんのもとへ辿り着く前に魔獣者の手から魔力を籠めた光弾が放たれる。
…くッ!今から呪文を唱えてもこの距離からじゃ間に合わない。…どうすればいいの。
しかし、そのときヒナちゃんはなぜか不敵な笑みを浮かべて、そして、叫んだ。

「何だか知らんが、やってやらぁぁあああッ!!」

そして、ヒナちゃんは魔獣者から放たれた光弾に向かって手をかざした。
…無茶だ。今のヒナちゃんには魔力を思うようにコントロールできない。

「ヒナちゃんッ!!」

そして、無常にも私が手を伸ばすが届かず、ヒナちゃんに光弾が直撃し爆破した。

「ケッケケケ。終わりだ。ケッケケケ」

私は、その場にガクっと膝をおとした。
私がもっと早くこっちに向かえていたら、こんなワナに引っ掛かってなければヒナちゃんは…。

私は、ヒナちゃんを救えなかった自分の無力さを嘆いて塞ぎこんでしまう。
-だが、そのとき

「…何が終わったって?」

「…何ッ!?」

「え…?」

私は、ハッと顔を上げる。煙で見えにくいけどそこには、ヒナちゃんが手をかざし、ちゃんとそこにヒナちゃんの姿があった。

「ヒナちゃん!!」

俺はチラリとその声がする方に視線を向けるとミナがそこにいた。
…っていつの間に!などと今はツッこんでいる暇はなさそうだな。

「き、貴様はフォーリアの!!…いつの間に。だが、貴様がここにいるということは…チッ…あやつしくじりおったな。馬鹿者め」

バケモノは大きく舌打ちをし、歯と歯をギリッと噛み、むっとした顔をする。
どうやらもう一人はミナの足止めに失敗したようだな。ざまぁみやがれ。
そして、バケモノは独り言のように小言で何か呟いていた。

「しかし馬鹿な…。今のお前に力を思うように制御できるはずが…。ましてや、我の攻撃を防ぐことなど…どういうことだ」

俺が再びバケモノの方に視線を戻すと、驚いた顔で今のこの状況に困惑しているようだった。…まぁ一番驚いてるのは俺なんだがな。まさか、本当に使えるとは思わなかったし。

「は、ハハハ!!どうだこの野郎がッ!!この俺が本気を出せばこんなもんだ。ここから俺の反撃快進撃の幕開け開始だッ!!くらいやがれぇッ!!」

俺は、バッとバケモノに向かって手をかざす。

「…くッ!!我もここまでか」

バケモノはキュっと歯をじりっと噛み、顔をくしゃっと歪ませた。
どんなもんだ。俺だってやれば出来るのさ。これで終わりだなバケモノッ!あはははははッ!!…………………あれ?

俺が手をかざしても、そして、いつまで経っても一向にさっきの力が発動することはなかった。

「…ハハハ…ハハ…」

何でだよッ!何でバーンとさっきみたいに力が出ないんだよッ!なぜなんだぁッ?!
俺の顔がさっと青ざめていくのがよくわかる。そして、俺がわたわたしているとバケモノはにやりと不敵な笑みでクスクスと笑い出す。

「ケッケケケ。どうやらまぐれだったようだな」

そして、バケモノはゆっくり俺の方に向かって歩き出す。

「さっきの威勢のよさはどこへいったのだ?ケッケケケ。まぁ、力が使えないのではどうしようもないがな。ケッケケケ」

「…くッ」

俺は、思わず一歩後ずさる。
くそッ!何で力が使えないんだよ!ホントにさっきのはまぐれだったのかよ。ってことは状況はまた俺が不利に。冗談じゃねぇッ!くそ、出ろ俺の力ぁッ!!

俺はもう一度、手に力を集中させるイメージでバケモノに向かって手をかざす。
だが、俺の力が引き出されることはなかった。

「どうやら本当にまぐれのようだな。ケッケケケ。さっきは少々驚かされたが、力が使えないのでは、貴様も終わりだな。寿命が少し延びただけだったな。ケッケケケ」

バケモノは再びあの攻撃をしようと構える。
おいおい!冗談じゃない!あんなのもう一回ぶっ放されたら今度は防げねぇって。

「今度こそ終わりだ」

「くぅッ!!」

俺は、後ろに1歩、また1歩と後ずさる。

「そうはさせませんッ!!そんなことは私が許しませんッ!!」

そうミナがバケモノに向かって叫ぶと、目を閉じ、何やら何かを呟いていた。
…ってまさかッ!?

「…き、貴様ッ!!」

「ヒナちゃん伏せてて下さいね!いきますッ!はぁッ!!」

そう言うとミナは、手から大きな光の玉のようなものをバケモノに向かって放った。
そして、さらにミナは続ける。

「我が放たれし光弾よ。かの者を捉え、そして、貫け」

ミナが何やら呪文のようなものを唱えると、さっきミナが放った光の玉は形が変化し始めた。

アミーナ「これで終わりです!!貫きますっ!!!」

光の玉は矢のような形に姿を変えて、そして、スピードを急激に上げ、バケモノに向かっていく。っていうか俺の方でもあるじゃねぇか!!やばッ!!

俺は咄嗟にミナに言われた通りにその場に伏せた。
間一髪、俺はそれをかわし、ミナの放った魔法の矢は俺の頭上を通り過ぎてバケモノへ一直線に迫っていく。

「くッ…!!これぐらいの攻撃など我の力をもってすればかき消してくれるわ!!」

バケモノはそう言うと、俺のときみたいに手をかざして、魔力を集中させ、そして、バケモノの手が輝きだす。

「我らとて貴様ら魔法使いなどに消される程ヤワではないわぁッ!!」

バケモノの手から俺のときの倍もある光の玉をミナの放った魔法の矢に向けて放った。
ミナの魔法とバケモノの魔法が互いにぶつかり、そのあまりにも大きな力は耐え切れずその場で爆発した。

「…くッ!!なんてすげぇ力の爆発だよ、これは…」

もの凄い力同士の激しい爆発で、爆風も凄く俺は吹き飛ばされそうになっていた。
さらに、爆発の影響で辺り一面が爆煙で視界が完全に奪われてしまったのだ。

「くそ…これじゃ何も見えんじゃねぇか」