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秋月かのん
秋月かのん
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第1章  7話  『魔獣者』

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「ふふふ。でも、東條さん初めての会話でそれはないと思いますよ。それも女の子に対しては特に。そんなこと言ったら私でなくてもビックリしますし不信感だって抱いてしまいますよ。なので以後は気をつけてくださいね」

軽く笑みを浮かべながら頭を抱えて嘆いている暁に優しく問いかけていた。

「へ?あ、…おう!!わかったぜ!!これからはミナちゃんの命を肝に銘じて気をつけることにするぜ。サンキュー!!ミナちゃん」

にかっと満面の笑みを取り戻し、すっくっと立ち上がり、ぐっと大きくグッジョブする暁。
そして、笑い合う暁とミナ。

っていうか、ちょっと待て。
何かこれはおかしいぞ。この展開は絶対おかしいって。だって、だってよ。
これじゃ。

「何だかどういうわけかお二人さん打ち解けてることになるじゃねぇかッ?!」

「お、そういやそうだな。何だかんだでかえでのも役に立ったのかもな」

「おめでと~。暁くん、ミナちゃん」

「皆、ありがとうッ!!俺は今猛烈に感動に打ちひしがれているぅぅううッ!!」

茜、冬姫、そして、かえでと泣きながら握手を交わす。

「ミッションコンプリートだネ☆ハッハッハ!!どうだ、春斗。見事イベントを攻略してみせたぞ!!っということでさっきの罰はこれで帳消しだネ!!アッハハハ。もう笑いが止まらないネ☆」

大きく高笑いするかえで。
対する俺は何も言えず真っ白に燃え尽き、そこに立ち尽くしていた。

「な、納得いかねぇぇええ~ッ!!」

俺は暁以上に頭を大きくアグレッシブに抱え、負け犬の遠吠えの如く嘆いていた。
俺の空しい叫びはこうして教室中に響き渡ったのであった。
ちなみに、このきっかけによりミナと暁は改めて友達に加わる事になるのであった。
何か複雑な後味が悪い結果だったぜ…。はぁ…やれやれだ。
こうして、休み時間は過ぎていくのであった。




あっという間に、午前の授業が終わりを告げるチャイムが学校全体に鳴り響く。
そして、時刻は12時…みんなが待ちに待ちまって待ち焦がれていた昼食の時間の到来だ。

「ふぁぁああ~。眠い」

しかし、そんな昼食でわいわいムード中で俺は食い気より眠気の方が勝っていたのだった。
…ホント眠い。

そうだ。昼休みの間保健室で寝かせてもらうとしよう。これじゃマジでヤヴァイからな。
俺はそう思うと、ゆっくりと席を立ち、保健室に向かおうとする。

「あれ?ハルちゃんどこ行くの~?お昼ごはん食べないの~?」

と俺が席を立ち、ふらふらと教室から出ようとしていたとき冬姫が声をかけてきた。

「あぁ~俺腹減ってないからいいわ。それよりも眠いからちょっと保健室で休んでくるわ」

「そうなんだ~。それじゃ、授業の始まる前に起こしに行った方がいいかな~?どうせ私、今からまどかちゃんと一緒にお昼食べるからそのついでに起こしに行ってもいいよ~。保健室通り道だから」

「いや、それは別にいいって。保健の先生にでも起こしてもらうぜ」

「わかった~。それじゃ、授業に遅れないようにちゃんと戻ってくるんだよ~。サボっちゃダメだからね~」

「わかってるって。ちゃんと戻ってくるよ」

本当に冬姫は世話好きでかいがいしいヤツだな。将来はいいお嫁さんになるぞ。

「本当に~?何かまたハルちゃん変なこと考えてる顔してるし、怪しいな~」

冬姫はじとーっとした目で俺を見つめていた。…俺ってホント信用ないんだな。
まぁ、それはしょうがないけどな。

「大丈夫だって。いざとなったら瞬間移動でもして教室に何食わぬ顔で席に着いて寝てるからさ」

「もう~またわけわかんないこと言って~!しかも、寝ていること前提で話してるし~もう~ハルちゃんったら!」

冬姫はプンプンと腰に手をあてて、呆れた表情で怒っていた。

「悪い悪い。でもまぁ、ちゃんと戻ってくるから怒るなって。5分前は無理かもしれんが、授業には遅れないようにするからな。それでいいだろ」

「う…うん」

「それじゃ、また後でな」

俺は手をひらひらとやって、大きな欠伸をしながら教室を後にするのだった。

「しかし、ホント今日は朝からダルいなぁ~ふぁぁぁあ~。ホント眠ぃ」

俺は、欠伸をしながら保健室まで行くべく廊下をふらふらと歩いていた。
しかし、まさかここまでダルいとホント何もする気も起きんな。立ってるのも億劫だぜ。
やっぱ昨日の疲れが尾を引いたか。さすがに昨日は本当にハードだったしな。
無理もないな。

さっさと保健室に行って休ませてもらおうとしよう。
そう思うとこのダルくて重たい足をこれでもかってくらいスピードを上げ、残りの気力で保健室に急ぐのだった。

そして、何とか俺の残りの全気力を使い果たしたところで保健室に到着する。
…よくやったぞ、俺の足、そして、身体よ。あとは、ここでゆっくりと休んでくれ。
俺は自分の足を軽く撫でると、保健室のドアを開ける。

「うぃーす。速水さん~ダルいんでまた休ませてもらいますよ~」

「んぁ~?あぁ雛月かぁ~?何だ、またサボりか?」

「違いますって!昼休みの間だけですって!」

「んぁそうなのか~?とか言ってホントはサボる気だろ~そうだろ~?」

先生は自席で雑誌を片手に読みながら面倒くさそうに答えていた。
…って俺にそれを言う前に、あなたがまず仕事をサボっている自覚を持ってくださいよ。

この人は、速水仁。ここ保健室の先生だ。俺は、速水さんと呼んでいるけどな。
このだらーんとし、やる気のなさで学園に知れ渡っている先生だ。
でも、意外に、速水さんは人気があるのだ。
…まぁ、ルックスもいいし、親しみやすいからな。

しかし、こんな風に見える先生だが、実は昔、格闘技を極めていたことや数々の大会で優勝をしたこともあるということを一部の関係者はいやでも耳にしたことがある。ん?何で俺がそれを知っているかって?実は、それは、この速水さんは、俺の格闘技を教えてくれていた先生だからなのだッ!!

今は、こっちは引退して、こうやってここの先生をやっているが…俺はやめないでこの学園で格闘技を教えればよかったんじゃないかと思っている。でも、速水さんは『今の時代は、格闘技なんて流行らないだろ~。それに、俺はもう引退したしなぁ~これからはのんびり平穏でいいんじゃないか~』と言っていた。

まぁ、格闘技なんか出来ても別にどうってことないし、それに、やれるだけの根性があるヤツも最近じゃいないわけだしな。

「じゃ、そうならないようにちゃんと起こしてくださいよ」

「いやだね~。俺は面倒なことはしない主義なんでね~。そんなもん気合で自分で何とかしろ」

速水さんは手をひらひらとさせ、偉く自慢げに胸を張っていらっしゃった。
…って全然そこ自慢するとこじゃないですから!

「まぁ、取り敢えず休ませてもらいますよ。ホントもうヤヴァイんで」

俺はそう言うとふらふらと空いているベッドまで足を運んだ。

「ってホントにヤバそうじゃないか~。まぁ俺は何も言わんから好きなだけ休んでいけ~。ご休憩フリータイムで1万でどうだこの野郎~」

だから、それじゃダメなんですって…。っていうか生徒から金取る気ですかあなたは…。
まったく相変わらずなお人だ。