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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  6話   『フォーリア国とシェルリア国との紛争』

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「「まぁてええええぇええええーっ」」

後ろから声がしたのでちょっと後ろを振り返ってみる。
…っておわぁ!あいつら追いかけてきやがった。
しかも、早いし、それに、何より顔が怖い。
まるで狼が獲物が獲れず絶食して3日でようやく見つけた獲物を狙うかのようだ。

何だよ。今日はやたら体力ばかり使って疲れるぞ。…今日の占い最下位だったか。
ってそんなことは今はどうでもいい。今はとにかくこいつらから逃げ切るんだ。
俺はミナの手をぎゅっと握り締め、昇降口まで廊下を全速力で駆け抜けるのだった。




「はぁ…はぁ…はぁ…ここまで…来れば…もう大丈夫…だな…はぁぁ」

「はぁ…はぁ……はい…そうですね…はふぅ」

俺たちは二人して学園の裏門からちょっと行った通路の道のど真ん中で盛大に肩で息をしていた。

「結構しぶとかったな。あの女子たち…」

そう、俺たちは、ミナにゾッコンかつ、メロリンラブ光線を全方向に放つあの女子集団にまるでカーチェイスに匹敵する逃亡戦を繰り広げ、その逃亡戦を見事…じゃないな。

何とか逃げ切ることに成功した俺たちは、今、裏門の近くで休んでいた。

「しかし、ミナは女子たちに大人気だな。新たな学園のマスコットキャラ誕生かもな~ハハハ」

しかも、あいつらファンクラブがどうとか言ってたし。…生徒会に続く新たな変人集団の誕生でなければいいが。

「いやですよ~!私、別にそんなのになりたくないです。普通に学園生活が送れれば十分です」

ミナはちょっとむっとした表情で、口を尖らせていた。

「まぁそうだな。俺もミナには『普通』に楽しくて仲間とワイワイ出来るそんな学園生活を送ってもらいたいしな」

普通に過ごせない悪い見本が身近にいるからな。…姉さんとか凍弥とか姉さんとか凍弥とか…。

「まぁ、まだまだ転校してきたばかりでいろいろと大変だろうけどな。でも、困ったら一人で抱え込まないで俺でも、冬姫たちでもいいから遠慮しないで聞くんだぞ」

「あ……」

俺がそう言うとミナは、ちょっと間を空けた後ににこっと微笑んで、

「はい!ありがとうです!ヒナちゃん。そのときは、お願いしますね」

満面の笑みでミナは答えてくれた。

「あぁ、任せとけ」

俺は、ビシッと親指を立てて、ミナに力強くそう言ってやる。

「あはは。頼もしいですよヒナちゃん。これならいつ相談しても大丈夫ですね~。私も安心です」

ミナは、小さな手をパチパチと叩いて、嬉しそうに喜んでいた。
よし、ミナの期待に応えられるように頑張らないとな。

「あ、そういえばヒナちゃん、さっきは何で遅れたんですか?…もしかして、どこかで居眠りとかしてたんじゃないですよね?」

ミナはじとーっとした目で、俺をじーっと見つめていた。
って違うぞミナ。いくら俺がぐーたらでも今まで約束を破ってまで居眠りはしたことはないぞ。…暁とかえで以外は。

あいつらは、いっつもくだらん用事で俺を呼ぶからな。『新しいギャルゲー買ったから見に来いよ』とか『暇なら一緒に対戦しようよ』とかな。だから、あいつらからの誘いは全てパスなのさ。そんだけで俺がはせ参じるのは何かと面倒だからな。

「どうしたんですか?ヒナちゃん」

ふとミナに視線を戻すと、さっきとは一転して心配そうな顔で俺を覗きこんでいた。

「いや~何でもないぞ。ただちょっと考え事をな。だから、心配すんなよ」

くだらんことを考えてただなんて言えないしな。

「そうですか。なら安心しました」

ミナは、ほっとした表情で胸を撫で下ろしていた。
あっ、そうだったな。ミナに遅れた理由言うのを忘れてたぜ。ミナに俺がヒカリと会ってたことやあの話について話しておかないとな。

「実はな、俺が遅れたのはさっきまで昨日俺たちの前に現れたヒカリっていうヤツと会ってたからなんだ」

「え!?ヒーちゃんとですか!?大丈夫だったんですか?ヒナちゃん」

「ん?あぁ…まぁな。それに、大丈夫じゃなかったらここにはいないだろうし」

「それはそうですね。でも、何でヒーちゃんが学園に?」

ヒーちゃん?…あぁ、ヒカリのことか。
何というかあいつに似つかわしい可愛らしいネーミングだこと。

「それは俺にもわからんが、少なくとも最初から俺たちを監視してたことは確かだな。俺が一人になった時を狙って接触してきたからな」

あれは自分でも今でも驚いてるし。突然だったからな。

「そうですか。それで、ヒーちゃんは、何でヒナちゃんだけに接触したのでしょうか。ヒーちゃんは何か言ってましたか?」

「あぁ。俺にもよく理解出来なかったから、上手くは説明出来ないと思うが、まぁ聞いてくれ」

俺は、ミナにヒカリが俺に接触してきた目的、俺の力について、フォーリアとシェルリアの敵対について、そして、俺の力が互いの国の重要な鍵になること…。ヒカリが話していた内容をゆっくりと思い出しながらミナに全てを話した。

「…そうですか。ヒーちゃんはそんなことを…」

ミナは複雑そうな表情で、手を顎に据えて何やら考え込んでいた。

「…しかし、ヒーちゃんがシェルリアの魔法使いだっただなんて…。でも、昨日のあの力を思い出してみると納得がいきますね」

まぁヒカリも一応ミナの友達だったわけだし、ミナもいろいろ複雑なんだろうな。
まさか、友達だったヤツが実は、自分たちの敵対にある魔法使いだっただなんてな。
突然、そんなこと聞かされたらそりゃ驚くわな。…実際、この俺自身も自分がフォーリアとシェルリアの力を秘めてるって言われて未だに信じられんしな。それも、俺の力が両方の魔法使いにとって重要な鍵かつ俺の力はまだ未完成でそれが完全なものになると恐ろしく破壊力を持つ力になる。…ってこんなこと突然ポンポンと語られてもな。実感沸かないし、納得し難い。

だってそうだろ?
突然、『あなたは私たちにとって重要な鍵なんです。だから協力してください』と言われてもだな、それはお前たちの身勝手な理由で俺は知らんし、関係ないのさ。生憎俺は、毎日が平穏で無事に過ごしたいもんでね。…悪いがな。

これって普通だよな?
と俺が考え込んでいるとミナは、真剣な顔で俺に向き直ってこう言った。

「それで、ヒナちゃんはこのことを聞いてこれからどうするつもりなんですか?」

「どうもしないさ。これまで通り普通に生活させてもらうさ。俺は平穏無事に楽しい毎日を送りたいからな。それに、もし俺にそんな力があったとしても、俺はフォーリアでもシェルリアでも魔法使いだったとしても、俺は俺だ。自分のことは自分で決める。だから、今まで通りの生活を送る。そういうことさ」

「…そうですか。私もそれでいいと思います。ヒナちゃんは魔法使いで何であれヒナちゃんです。ヒナちゃんの人生はヒナちゃん自身のものです。だから、そのことを自分で考え、その結果はどうであっても自分で決めたのならそれでいいんだと私は思います」

ミナは、真剣な表情で俺にそう言った後に、にこっと微笑んでくれていた。

「ありがとなミナ。…でも、まぁミナが困ってたら俺も協力してやるからな」

「…え?それは…どういう?」

ミナは突然のことに、目を丸くして驚いているようだった。