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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  6話   『フォーリア国とシェルリア国との紛争』

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「…よし!解った!」

「何がだ?!」

俺にも解るように話しやがれ。

「その勝負に私も参入することにしよう。…フフフ」

「ってこら何の勝負だッ!?ワケワカラン。ちゃんと説明しろッ!!」

「そうと決まれば、私は一度報告に戻らねばな」

あの~もしも~し。

「じゃ私はこれで帰るぞ。またな。…フフフ」

もう俺は知らん。
俺は軽い頭痛と呆れ感で身も心も疲れ果てていた。
そして、ヒカリが屋上を後にする…と思ったら、くるっと俺の方に向き直る。
…何だよ?まだ何かあるのか?

「貴様……名前は?」

「は?」

「何まぬけな顔してるんだよ。名前だよ。貴様にはないのか?名前」

「あるけどさ…。何で今頃になって?」

「ごちゃごちゃ煩いなッ!!さっさと教えろッ!!馬鹿者ッ!!」

ヒカリは顔を真っ赤にして激昂した。
なんかこいつには物理法則はてんで通じないみたいだ。…不便なヤツだ。

「春斗。雛月春斗だ。これが俺の名前だ。覚えておけよ」

「ハルトか。…フフフ。しっかりと覚えておくよ♪じゃあな」

そう言うとヒカリは屋上を後にした。

「…はぁ」

…何かどっと疲れちまったぜ。一体、結局あいつは何しに来たんだ?
それに自分から一方的に話を打ち切って帰っちまったしよ。ワケワカラン。
ミナを迎えに行こうとしてたのに散々な目に遭った。…って、あ!そうだ!

「急がないと!ミナが待ってたんだった」

時計を見るとあれから結構な時間が経っていたことに気づく。
ミナ、俺が迎えに来ないから心配してるかもしれんな。…下手すると泣いてるかも…な。

「こうしてはいられんな。急ぐか」

そう思うと俺は、急いで屋上を後にし、ダッシュで職員室まで向かったのだった。




屋上から北館の職員室までダッシュで駆け抜け風となった俺は、やっと職員室のある北館1階まで辿り着いたのだった。あぁ疲れた…。今日一日分の体力を使ったといってもいいんじゃねぇか。俺は疲れに耐え切れずその場に立ち尽くし、肩で盛大に息をしていた。

「休んでる場合じゃないな。ミナをあれから待たせちまってるからな。っと、急ぐか」

俺は気力を振り絞り気合を入れると、職員室に向かった。

<<ざわざわ、ざわざわ>>

何やらデジャブ??というか、いやな予感がする。

「もしかして…またか」

職員室前には大量の女子の集団で溢れかえっていた。
何でかな。こういう時の予感ってのは、結構当たる気がするんだよな。

「あぁ~♪お嬢ちゃんまた来てくれたの?あれぇ?その制服…もしかして!お嬢ちゃん新入生だったの?」

「あ…あの…あの…き、今日…て、転校しししてきたんですぅ…ぅぅ」

「へぇ~そうなんだ♪んじゃ私がお嬢ちゃんをこの学園を案内してあげるよん♪」

「あぅぅ…あ…あのあの…あの…うにゅぅ…」

うーん…やっぱり聞いたことある声だな。

「きゃぁあ♪やっぱこのお嬢ちゃん可愛すぎーっ☆照れててぇ、もじもじしてぇ、顔を真っ赤にしてぇ☆ホント、このお嬢ちゃん食べちゃいたい♪」

っておいおい!

「あぁーずるい~!私も私も~♪」

「はわぁう…あああのあの……あのぅ…ふにゅぅ」

「ほら、二人してくっつかないお嬢ちゃん困ってるよ」

「あぁ、ごめんね。あまりにもかわいいからついつい…」

「でも~ホント可愛いよぉ♪私、今、理性崩壊しそうになったもん☆」

さりげなくとんでもないこと言うなよ。

「じゃーあ、こういうのはどうかな♪みんなでお嬢ちゃんを案内してあげるっていうのはぁ~♪」

「さーんせーい♪ナイスなアイデアよ♪」

「私は、お嬢ちゃんと一緒ならどこだってついて行っちゃうよ☆」

「じゃ、それできーまり♪」

「あ…あの…あの…でで…ですからぁ…そのぅ…うぅぅ」

「「じゃ♪行こっか♪お嬢ちゃん♪」」

おいおい、聞く耳なしかよ!
などとツっこんで場合じゃない!助けないと!
俺は急いで人混みを掻き分けて、あいつの声のする方へ駆け寄った。

「おらぁ!どけッ!テメェらぁッ!」

「あぁ!またあいつよ~!この前私たちの邪魔をしたあの時の!」

「ホントだ!この前はよくも~!お嬢ちゃんを連れ去るヤツはこの私が許さないよ~」

「いや、邪魔したのはテメェらだからッ!それと俺をどっかの危ない誘拐犯みたいに言うんじゃねぇッ!」

「どっちみち同じようなもんよ!この外道っ!鬼畜っ!変態っ!死ねーっ」

「最後のはまだしも最初の3つは納得できねぇッ!!」

たくさんの罵声を浴びながらも、やっとのことターゲットのところに辿り着く。

「大丈夫か?ミナ!」

「うぅぅぅっ……。ヒナちゃーーん!!うわああああぁぁあああん」

ミナは、俺を見つけるとぱたぱたと泣きながら走ってきて俺に抱きついてきた。

「ちょっ…ミナ」

「「きゃぁあ!お嬢ちゃんに抱きつかれてる…いいな♪いいな♪」」

とはしゃぐあいつらのことはほっといて…。

「ヒナちゃん怖かったよ~。私ねヒナちゃんが来るの待ってたんだよ。でも、ヒナちゃん中々来なくて…うぅうっ…。それで、ここで待ってたらね、うぅ…いきなりまた人に囲まれて…うぅ…うぅぅっ」

「ごめんなミナ、来るのが遅れて。もう大丈夫だから。俺がいるだろ?…な?だからもう安心だ。だからもう泣くなって」

俺は、ポケットからハンカチを取り出し、ミナの涙を拭いてやり、そして、泣いてるミナの頭をやさしく撫でてやる。

「ぐすぅっ……うん…うん」

ミナは、少しずつ泣き止んでいき、にこーっと微笑ましい笑顔を取り戻してくれた。
取り敢えずこれで一安心だな。

「それじゃ帰るか。ちょっと遅くなっちまったし」

ヒカリのことについても話しておかないといけないからな。

「はい、そうですね。私も早くおうちに帰りたいです」

そう言うとミナは、俺の腕にがっしりとしがみついてきた。
そして、俺たちは、昇降口へ……。

「待ちなさーい!どーこに行く気よー!」

「そうよ~!私たちを差し置いてお嬢ちゃんを奪い去るのを私たちが見過ごすと思ったの~」

「お嬢ちゃんを私たちから奪う者は誰であろうと許さないわ」

「だーかーらッ!違うって言ってるだろッ!そもそもミナとはここで待ち合わせしてたんだ。先客は俺だ。わかったかぁッ!!」

「へぇ~お嬢ちゃんの名前ミナちゃんって言うんだ~♪可愛い名前だね♪」

「ってこらッ!しかとすんなッ!」

「えへへ♪名前も可愛いよ~☆それにしがみ付くミナちゃん…やばっ、私、どうにかなっちゃいそう☆」

「おーい」

「そうだわ♪私たちでミナちゃんファンクラブを立ち上げましょうよ♪」

「「さーんせーい♪」」

って聞いてねぇ。
しょうがねぇ。これ以上面倒なことになる前にとんずらした方がいいな。
俺はミナにだけ聞こえるような小声で言った。

「ミナ、俺の手にしっかり掴まってるんだぞ」

「え…あ、はい。わかりました」

「んじゃ、行くぞ」

俺はミナの手をしっかり掴むと、そのまま後ろに反転し、昇降口目掛けて走り出した。

「あぁっ!あいつ逃げたよ」

「逃がすもんですか~!ミナちゃんのために☆」

「そうね。追いかけましょう」