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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  6話   『フォーリア国とシェルリア国との紛争』

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それにさっきからのこいつの言動に態度、率直な意見で言わせてもらうと、危険そのものだ。

レベルで言うと、混ぜるな危険の域だ。
そんなヤツを信用していいものなのか??
こいつらにとってはフォーリアは犬猿の仲のような関係でもあるわけだし、ってか敵対国だったな。とても、争いを鎮める…ためには思えんのだが…。
ちょっと、ヒカリに訊いてみるか。

「なぁ、ヒカリは最初に俺に協力しろって言ったな?」

「あぁ、そうだ」

真剣な表情で俺を見つめる。

「それって、今、互いに敵対関係にある、フォーリアとシェルリアの争いを鎮めるためにか?」

「そんなわけないだろう。争いを鎮めるなんぞ端から興味ない」

ヒカリは即答で俺の質問に答え、さらに不敵ににやりと微笑んでいた。
俺はあまりにも予想通りすぎの回答だったので、一瞬、きょとんとしてしまった。
はっきり言ったな。しかも、堂々と。

「んじゃ聞くが、何の目的で俺に協力させるつもりだ?」

俺は恐る恐るヒカリに訊ねてみた。

「決まっているだろう。フォーリアのヘタレ魔法使い共に改めて私たちシェルリアの魔法使いの力を思い知らせてやり、シェルリアの力をもってしてやつらをけちょんけちょんのめっためったに痛めつけて屈服させてやるのだ!!私たちはあの時のことを決して許したわけではないッ!!あのへタレ共のおかげで一体だれだけの尊い犠牲を生んだと思っているのだ!!謝罪したとて私たちシェルリアの民は許すものかッ!!!私たちと同じ思いをヤツらに、あの時受けた苦しみや悲しみ、その全てを2倍3倍にして味合わせてやるのだッ!!!フフ……思い知るがいいフォーリアの愚民共よ!!!己の愚かさを、己の惨めさを、その無力さをその身に刻み込んでやるわッ!!!フフフ、今にもヤツらの苦渋に満ちた顔が目に浮かぶわ~!!アーッハッハーッ!!」

ヒカリはいかにも悪役っぽい台詞を吐いて、口を大きく開いて高笑いする。
俺は思わず呆気にとられ、息をするのも忘れ二の句がつげない状況に陥る。

「アーッハッハ。今こそシェルリアの力を見せ付ける時だ!!…フフフ。どう抵抗するのか見物だが、所詮は悪あがきッ!!!敵ではないわッ!!やつらの泣き喚きひれ伏す姿が目に浮かぶわ♪フフフ……それに、更に幸いなことに、昨日の貴様との戦いから力を分析してみたのだ。そしたらどうだ、貴様の力はフォーリアの魔力より多少だがシェルリアの魔力の方寄りだったのだよ♪なんという幸運♪ホント驚いたぞ♪…フフフ」

ぴょんぴょんと嬉しそうに飛び跳ねるヒカリ。
見てる分には微笑ましいお子様なんだがな。何というか残念だ。

「これからミッチリ私が貴様を鍛えれば更にその力は強大かつ破壊力のある戦士となるだろう♪正に、磨けば光る原石みたいなヤツなんだよ貴様は♪…フフフ」

ヒカリは淡々と今まで見せなかった微笑ましい笑顔で嬉しそうに語っていた。
それはホント俺も微笑ましいことなんだが。…ってちょっと待て。

「ちょっと待て。勝手に一人でどんどん話しを拡大させていくな。こっちはまるでついていけん」

俺は呆れてやれやれと肩をすくめる。

「何だよ。人がいい気分でいるのに話の腰を折るな。ほら、貴様ももっと喜べ♪私たち共にシェルリアの未来を勝ち取れることを!そして、やつらを屈服させられることのできるこの喜びを♪アーッハッハ」

って聞いてねぇし。真正のアホかこいつ…。
しかも、勝手にもう仲間にされてるし俺。

「だから、待てってッ!俺は、まだお前らに協力すると言った覚えはないし、第一、そんな厄介で面倒事に関わる気なんてさらさらない。そんなの俺の知ったこっちゃない。お前らで好き勝手にやればいい。俺は知らん」

「そうはいかん。貴様は、私たちにとって必要な力なのだ。そのために私はわざわざこんなトコまで貴様を探しに来たんだぞ。貴様の後をつけるのも一苦労だったのだぞ」

「知ったことか。…ってちょっと待て。俺をつけてたって?それは、いつ頃からだ?」

何やらいやな予感が頭を過ぎったので、ヒカリに恐る恐る訊いてみた。

「…そうだな。貴様がアミーナをどっかの部屋まで連れていったところくらいだったか。…確かそうだ。そこからずっとつけて、いつ接触しようか迷っておってな。なんせ人の目につくと問題だったからな」

あぁ、それは正解だと思うぜ。それは俺からも感謝してやってもいいぜ。
…でも、待てよ。ずっと接触する機会を狙ってつけてたってことは、さっきのアレは…。

「なぁ、さっき俺とお前ぶつかりそうになったよな。…もしかして、アレは偶然とかじゃなく最初からそのつもりだった?」

「あぁ、そうだよ。フフフ…。でも、あのような突然なことでも咄嗟に判断をし回避するとはな。私も正直驚いたぞ♪フフッ…フフ♪さすがだよ。私の期待通りだ」

なんていうことだ。あれは最初から仕組まれたワナだったのか。
解ってたらこいつなんか無視ってミナのところに行ったのによ。
…後の祭りとはこのことだな。

「もう一度言う。私たちに協力しろ!そして、私と貴様の力でフォーリアのやつらを血祭りにあげてやろうじゃないかッ!シェルリアの力のもとにやつらの愚かさに正義の鉄槌を下してやるッ!アーハッハッハーッ!」

何かもうノリノリなヒカリ。その反対に『…………』な俺。
…はははは。付き合いきれん。馬鹿馬鹿しい。
そんな馬鹿なことはお前一人で勝手にやってくれ。俺を巻き込むな、関わらせるな。

『大魔法戦争』?『選ばれし魔術師』?
挙句の果てには俺が『重要な鍵』だ?
知るか。んなこと言われても。つーか知りたくもない。

それに…、ヒカリ言わせてもらうが。なぁにが正義の鉄槌だ。
お前はどう見ても『悪』だろうが。それは正義とは言わん。
まぁそれはいいとして、こいつにははっきりと言ってやる必要があるな。
だから、俺は、ヒカリに言ってやった。

「はっきり言おう。俺は、お前の馬鹿げた事に協力する気は全然ないし、それに、フォーリアとシェルリアだかの争いに関わる気も全くといってない」

「フフッ…フフフ。アーッハッハ。貴様ならそう言うと思ったよ」

何が嬉しいのかかヒカリはまるで予想した通りな表情を浮かべ、高笑いしていた。
本当かよ…。さっきノリノリだったくせに。

「まぁそんなわけだ。…んじゃな」

そう言って俺はくるりと反転してヒカリに背を向け、屋上を後にしようとする。

「もし…」

ヒカリが何か呟いていたので、足を止め、ゆっくりとヒカリの方へ向き直る。

「もし、アミーナも同じようにお前に協力を願ってきても、今の私のように拒否するのか?」

再び真剣な表情で俺をじっと見つめる。

「…さぁな。まぁ、ミナに頼まれたらやってもいいかなって思うかもしれんな。お前と違って優しいし、それに何だかんだでミナはほっとけないトコあるしな。だから、俺がちゃんと守ってやらんとな」

「フン。失礼なヤツだ。これでも私は優しいんだぞ♪フフ…」

「へッ。よく言うぜ」

「まぁ、貴様がアミーナのことを気にかけるのは解っていたが、まさかここまでとは…。…なるほど向こうが一歩リード…というわけか」

ん?後半の方、何て言った?小さくて聞こえんかった。