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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  6話   『フォーリア国とシェルリア国との紛争』

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「えーと……だ。そろそろあまりの情報混乱で暴発しちまいそうだからちぃっとばかり整理させてくれ。まず、フォーリアとシェルリアの魔法使いの違いはだ、フォーリアは魔法学校とやらで自らの意思で魔法使いになって、シェルリアはずっと昔から受け継がれてきた力で、生まれながらにすでに持っていた……そういうことか??」

「フフ、その通りさ」

意図的にしか思えない不敵っぷりな笑みで微笑む。

「んで、そんなお前たちにも例外なヤツがいて、それはお前なわけで。そんでもって昨日みたいにバンバン魔法を使う魔法少女なんかじゃなく、元々はふっつ~うの人間だったと……そういうことでいいか??」

「そういうことだ。フフフ、よくぞその貧相な脳で情報整理できたな。よし、この私が褒めてやろうぞ♪♪私が褒めることなんて滅多にあるのもではないから光栄に思え♪♪ほれほれ、頭を出してみよ。なでなでしてやろう♪♪」

何が嬉しいのか途端に、子供のようにぱぁっと無邪気に微笑んで、口から白く光り輝く八重歯を覗かせていた。

「ほれ、何をしている馬鹿者!!…ん~っ!!ん~~ッ!!!…と、届かない…っ!!!…ハァハァ、これボケっとしてないで早く屈め!!なでなでできないじゃないかッ!!!この馬鹿者がッ!!!!」

手を目一杯こいつ2人分くらいはありそうな高さにある俺の頭へと伸ばしてくる。
届かないのを認めたくないのか、ムキになって懸命にぴょんぴょん跳ねては高みを目指して手を伸ばす。それで、ようやく認めたであろうこの瞬間に、この俺は馬鹿者扱いだ。

さらに、理不尽極まりないことに、問答無用にしゃがむことを要求してくる有様だ。
このガキ……。っといかんいかん。ここでまともに取り合ってはいけない。
それじゃこいつの思うつぼだ。それだけは避けなければな。

俺は誰かさんとは違って学習機能搭載なのさ。ってことで。

「……まぁ、何だ。その健闘は大いに認めてやろう。でもな、よく考えてもみろ~今そんなこと…」

してる場合じゃない……そう繋ごうとしたのだが、その瞬間、俺はがくっと地面に崩れていた。同時に股間に激痛が走る。そう、俺が言うその前にヒカリが股間を思いっきり蹴り上げていたからだ。

「んおぉぉぉおおお…ッ!!!!」

表現し難いこのとてつもない痛み。男子諸君にはイヤでも想像できようこの痛み。
叫ぶことも出来ずに股間を押さえ悶絶を余儀なくされるみっともない姿。
もう……お婿いけません。

力を持って俺をしゃがませると、ヒカリは満足げな顔して、俺の頭をなでなでしていた。

「フフフ、そんなにも嬉しいか♪♪震えるくらい、涙を流すくらい感動しているか??フフ、おだてたって何もやらんぞ??だが、そんなに悦ぶとは甲斐がるというものだ♪♪それに、こーいうのをこっちでは『萌え』というのだろう??」

俺の痛みなど尻目に、十二分になでなでを堪能するヒカリ。
このガキ、鬼怖い!!ってかこんな時に萌えなんかいらん!!!
そんなサービスいいからっ!!

そんなことより救助班はまだかっ!!!
救助班、救助班っ!!!ハーリーナウッ!!!!

それから、しばらくしイロイロと治まると、

「フフ、多少目に余るものがあるが、呑み込みがいいヤツは私は好きだぞ♪♪」

「よくあんなことしやがってそんなことが言えるなッ!!!」

ったく、俺がどんだけ死を見たことか。軽く天使たちが花畑で井戸端会議してるトコちらっと見えちまったじゃねぇか。

「それでだ、私のこの力は遺伝子操作によるもの、記憶は皆無なのだがどうやらそうらしい…」

「っておい、さりげなく話再開すんじゃねぇッ!!」

「(じろッ!!!)」

鋭い目が矢のように俺を射る。マジでくだばる5秒前カウントダウン!!!
その脅威を感じた瞬間、

「すいませんでした。どうぞ、お話をお聞かせください」

こう言っていたのだった。何ていうかもういいや…。
うん、疲れてるんだ、きっと…。俺が悪いんじゃない、これは疲れてるせいだ。
フンっと鼻を鳴らすと、鬼怖いヒカリさんは話を再開する。

「この力は遺伝子操作により生まれた力。能力を持たない私は気に食わないが能力開発の実験体されたのだ。忌々しい限りだ、あぁ、忌々しい。…こうして私はこの力を手に入れたのだが、同時に厄介な運命も背負わなければならなかった。それは、この身体。普通の人間が必要以上にこの強大な魔力を開発したことにより身体にとって大きな負担になる。魔力を使用するたびに、負荷がかかるためダメージを受け続けねばいかん。さらに、増幅するこの力を抑制するには、あるルールで縛らなければならない。オーバードライブ、つまり強大な魔力を使用、リミット解除するたびに死神のように通称、悪の種と呼ばれるモノが私の生命を管理される」

ちらりと俺に顔を向け、俺が理解できていないのを感じると、小バカにするようにこめかみに人差し指でツンツン叩き、弧を描いた。

『頭、クルクルパー』とでも言いたげなように。というか言った。
怒っていい??怒っていいよね??俺既に激おこなんだが。

「まぁ、お前のために簡単に、超簡単に説明すると、強い魔力を使い続けると寿命を縮めて死ぬ事になるってことだ。悪の種は私の魔力を吸って成長し続ける。根を生やし、芽が出て、開花してしまうと精神は支配され、自分が自分でいられなくなる。つまりは死。生きていても既にそれは人のナリした人形なのだ」

「マジなのか??ってことは、お前はずっと死の運命を背負ってこれまで生きてきたってことか??」

「そうだ。だが、死が怖いとは思わぬ。本当に怖いのは私自身でいられなくなるこの身体なのだ」

「まぁ、そうかもな。死ぬよりも残酷だ。確かに想像してみたらゾッとする。いっそ死んでしまった方がマシに思える」

「おいおい、人事ではないぞ??貴様もその運命を背負っているんだ。いずれは死ぬぞ??そのうえ、悪の種で精神を支配された人形になってな」

ヒカリは、真っ直ぐな瞳でそう語った。
嘘偽りも曇りのない表情で空の向こうを見据えた。

「…そうか」

「あとな、これも聞いた話でしかないが、遺伝子操作の影響かどういうわけか知らんが、私はこのみっともない身体にされてしまった。この身体の方が都合がいいのか、研究者の趣味かわからぬ悪趣味としか思えぬ」

んなアホな。

「願わくば、私は元の身体に戻りたいし、実を言えば、この私をこんな身体に陥れたヤツらを見るも無残にこの手で殺してやりたい」

「物騒だな。まぁ、わからん事もないけどな」

「さて、フォーリアとシェルリアの違いについてはこんなトコでいいだろう。本題に入ろうか」

ヒカリは、ふぅと一息つくと、ぐーっと大きく伸びをする。

「本題か…。って何の??」

「貴様のあの力についてだ。話をする前に私が言ったじゃないか。それも忘れてしまうとは……馬鹿者の極めだ。いや、愚か者の方がいいかな??」

「…もう反論する気力もねぇよ。もう馬鹿者でも愚か者でも何でもいいからとっとと本題に入ってくれ」

「フ…つまらんな。まぁいい。それはな、実は貴様には、フォーリアとシェルリア…共に互いの二つの魔力がその身体に流れているのだ」

「……へ?」