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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  5話  『少女との再会』

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「はーっはっはっはー!!新入生の皆、待たせたな!こんな普通すぎる歓迎会にお前らはもう厭き厭きしてたとこじゃないか?だが、安心しろ!我らがそんな普通で面白みもない歓迎会をぶち壊しに来てやったぜ。今から実行員に代わって我らがこの会を大いに盛り上げてやるッ!!用意はいいかッ?!お前らぁあッ!!!」

「「おおおおおおおおおお!!」」

暁の活躍虚しく、凍弥のマイクパフォーマンスにより、さらに会場内はデットヒートした。確実に踏み台にされたな。

「何だこれは!すぐに先生を呼んできてくれ!」

「はい!」

「素晴らしい歓声だ新入生の皆!!これこそが新入生歓迎会の本来あるべき姿だな!これが本当の歓迎というものだ!我らは、お前らがこの学園に入学してくれたことに大いに歓迎し、嬉しく思うぜ!!」

「「おおおおおおおおおお!!」」

「さぁ、新入生の皆!!今日のこの歓迎会で、互いに笑い合い、祝い合い、そして、大いに盛り上がってくれよな!!」

「「おおおおおおおおおお!!」」

「何だかすげー盛り上がりだな」

「うん♪ボクも楽しいよ♪ボクの時の歓迎会もすっごく楽しみになってきたよ♪」

来年も俺たちにやらせる気か…。

「でも、ホント凍弥ってすごいよな~。暗い会場を一瞬で盛り上げちゃうなんて」

「それは俺も同感だ」

凍弥ならレジスタンスでも大いに活躍できるだろう。こんだけ多くの人間をまとめられる
んだからな。…いや、極道でも可能か?いやそれどころか国のトップでも十分可能だろう。そうなると世界……やめよう、段々恐ろしくなってきた。

まぁ、こいつにはこれが一番だってことだな。
そして、凍弥with愉快な仲間たちによる会場の乗っ取りで、ここから俺たちによる新入生歓迎会が始まり、この会は大いに盛り上がったのだった。

この後、俺だけが職員室送りになったことは言うまでもない。
ってふざけるなッ!!何で俺だけなんだッ!!生徒会ッ!!




「おっ、そろそろ時間か」

何だかんだで、俺が適当に暇潰してからミナとの約束の時間がちょうど経っていたのだ。
結局最初の選択肢通りに進んだようだが気のせいか。まぁいいや。
時間っていうのはホント過ぎるまでくそ長いってのに経つのは以外に早く感じるもんだ。
…って何、年老いた老人みたいなこと言ってんだ俺。
まぁそれはいいとしてだ。

今、俺は東館にある学食で優雅にコーヒーを飲んでいた。
この時間は学食はやっていないが、休憩所として開放させているのだ。まぁ、自販もある
し、購買もあるから午後のティータイムにはもってこいの場所だ。
…俺なんかすっかり常連だ。

まぁそのおかげで学食のおばちゃんに購買のお姉さんにもフルネームで覚えられてもらって、今じゃここはファミリーも同然だ。といっても、さすがに学食のおばちゃんのフラグは立ってないから安心してくれ。…ってホントに立ってないよな。

あ、そうだった。今はそんな場合じゃなくてだな。ミナんとこ行ってやらないと。

「ミナも待ってるかもしれんからちょっと急ぐか」

そして、俺はミナの待つ北館1階の職員室まで向かうのだった。


「あ、そうだった!北館行くにはこっちからの方が近道だったよな」

近道探し大好きっ子な俺は、引かれたレール上を歩くのは何かつまらないので、いつも散歩と称して近道を探したりしている。…これそこ暇なヤツって思わんように!!

まぁそんなわけで近道しようと思ったわけだ。ミナも待たせてるだろうし。
そう思うと俺は道を外れて近道の方の進路をとるのだった。
この近道は、ここ東館から北館の間にある虹ヶ坂学園初等部を突っ切って行くという単純かつ明快な道なのだ。

まぁ本来あまり出入りしてはならないのだが…。ここは気にせんでおこう。
俺は、気にしないで堂々とした態度でそこを突っ切ってミナの元へ急ごうとした。
そのとき、

「あッ!危ないッ!」

「えっ?」

突然、角から初等部の女の子が出てきてたので、俺は咄嗟に緊急停止を試みた。
そして、その反動を利用してつま先に力を入れて後ろにバックステップをする。

「はぁッ!」

すると、何とか上手く後ろにバックステップすることに成功した。
…はぁ、危なかったぜ。
もう少しでぶつかって怪我させちまうとこだった。

…今度からはもっと周りに注意しないとな。

そう思うと俺は、今ぶつかりそうになった女の子に謝ろうと近づいた。
女の子は、驚いて転んでしまったのか、床に尻餅をついていた。

「だ、大丈夫か?ホントごめんな。俺が急いでて周りを見てなかったばっかりに…」

「いえ、別に平気です」

女の子はそう答えた。
下を向いているせいで表情は伺えないが声色からして大丈夫そうだった。

「立てるか?」

こくんと女の子は頷くと、俺は、女の子に手を差し伸べてやる。
最初は何やら差し出した俺の手をじーっと不思議そうに見つめていたが、しばらくした後、ようやく俺の手を取った。

「はい、ありがとうございます」

女の子は、俺の手をとり、ゆっくりと立ち上がる。
そして、女の子は顔を上げ、俺の方を向いてくれたおかげ隠れていた表情が明らかになった。…ってあれ?この顔どっかで見たことあるような気が…。

「どうしたのですか?」

俺が難しい顔をしていたせいか女の子は小首をかしげた。

「いや…大したことじゃないんだが、君の顔どっかで見たことがあるというか、会ったことがあるような気がしてな」

って今気づいたが、これってよくナンパとかで使われる常套句だったよな。
…って別に俺はナンパしてるわけじゃないからな。断じて!

すると、女の子は不敵な笑みを浮かべ、くすくすと笑い始めた。

「フフフ♪えぇ、確かにありますよ。会ったことも見たことも…フフフ♪」

「……そうなのか?」

マジかよ…。
ってきり『そんなことはないです』と言われるとばかりと思っていたのに。
しかも、この女の子の方からそう言われるとは…。うーん…。どこで会ったっけ?
買い物の時か?…ってか俺買い物行かんし。んじゃ学園でか?ますますありえん。
俺に初等部の娘に知り合いはないし。…うーん。

俺の脳内コンピューターをフル稼働にし、あらゆる脳内ファイル全ての検索にかかる。
検索中……検索中……検索中……検索中……検索中……。
ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅん……。……ピコン!該当ファイルが1件あります!

キター!これだッ!これしかないッ!
さぁ、ファイル表示させろッ!!
そして、再生するんだッ!!

俺の脳内コンピューターは、俺の指示通りファイルを開き、そのデータを再生した。
それを俺は、ゆっくりとデータを再生させながら口に出して女の子に向かって言った。

「お…お前はッ!!」

「フフフ…♪」

女の子は、にやりと微笑んだ。そして、

「………えーと、すまん。…お前誰だっけ?」

-ズガシャーン

女の子は、ド派手にすっ転んでいた。

「ってしまったッ!!これは、『冬姫専用からかいファイル』だった。間違って開いてしまったぜ。失敗、失敗」

「ふ……ふざけおって」

女の子はゆっくりと立ち上がった。
…って頭にコブができてる。