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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  5話  『少女との再会』

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-ズドーン!!バコッ!!!ズギャーンッ!!!!

さらにかえでのコンボが繋がり、滅多打ちだ。

「最初からクライマックスとはこのことだよ☆」

「………」

「あれ、返事がない。ただの屍のようだ」

「………」

出オチもいいところだ。
あまりにも派手に決まってしまって感動を覚えるくらいだ。
まさに一瞬。早業だ。誰にも真似できん。

嵐の前の静けさとはよく言うが、これでは『前』ではなく『後』と訂正せねばならない。
否、そうに違いない。

「あ、そうだ☆思い出したよ☆暁には夢があったネ☆ちょうどいいから、あたしがその夢叶えてしんぜよう☆」

「(*〓v〓*)?」

飛んでいく刹那、ヤツの顔は笑顔だった。
まるで穢れを知らぬ天女のように、温かく至福に満ちた無垢なる笑顔だった。
僕らは忘れない。
俺は空を見上げる。どこまでも晴れ渡る青い空にあいつの面影を浮かべて思う。
人はどこへ行くのだろう。この空はどこへ続いているのだろう。
人に翼があれば…。

いや、あるんだ。きっと。
それはただ見えないだけ。見えていないだけなんだ。
人の背中には翼がある。信じる者にしか見せない翼が背中にある。
信じてさえいれば、人はその翼で飛べるってことを…。

「そーらを自由に飛びたいなー☆はい、タケコプター☆ってなわけで、魔法少女みたく飛んでこいやー☆」

「なーんーのーはーなーしーだぁああああああぁあああああッ!?!?!?」

壁を突きぬけ、あの大空へと旅立つ暁。
まるで今じゃ星のようだ。

「んじゃ、今度はこっちいってみよーか??なぁ、春斗よ☆」

拳を引いてもの凄い勢いで突っ込んでくるかえで。
まぁ、そうなるわな。わかっていたさ、でもな。

「俺はひかないッ!!!返り討ちにしてやんぜぇええええッ!!!!」

再び身構え、戦闘態勢にはいる。
だが、それは無に帰す。
なぜなら、

-ズギャァアアアアアッ!!!!!!

目の前に閃光が遮ったと思ったら、気づくと俺とかえでは共に床にぶっ倒れて、天井を仰いでいた。一体…何が…起きたんだ?

と俺の顔のすぐ真横に誰かの上靴が視界に入った。そして、ゆっくりと見上げてみるとそこには、明日香が立っていた。って今のはまさか…こいつが??

「さすが、お姉ちゃんだね。ボクが止めようとする前に行動に移すなんて」

「…明日香こそ、よくあの状況で踏み止まれたね。お姉ちゃんにも明日香が動いたのは微かにしかわからなかったよ。さすが、私の妹ってことだね」

姉さんが…俺たちを?
っていうか俺には攻撃されたことすら見えなかったぞ全く…。
俺は声がする方へ視線を向ける。すると、かえでの倒れてる近くに姉さんが立っていた。
しかも、勝ち誇ったように笑みを浮かべていた。

「うふふ♪合格だよ明日香ちゃん。後は明日香ちゃんに任せちゃいます。では、お姉ちゃんはそろそろ時間だから行くね~。とーくん、明日香ちゃんと他2名を頼んだよ」

俺とかえでは他2名扱いですか…。

「任せてください。会長の次期会長候補としてしっかりと俺が面倒を見ますよ」

やめてくれ…俺の妹まで変な集団の仲間に引き入れるな。

「うふふ♪そうしちゃってくれる~♪それじゃ頼んだよ~♪」

そう言って、意味深な笑みを浮かべながら部屋から出て行く姉さん。
っておーい姉さん…。マジで止めてくださいよ~頼みますから。
落胆する俺を尻目に、凍弥は明日香に近寄って話しかけていた。

「さ~てさて、ハルト・ザ・シスター。説明は会長から聞いてるな?」

「うん♪聞いてるよ~♪かえちゃんにも話したから、ボクたちは大丈夫だよ♪」

「ふむ。さすがだ。それでこそ次期生徒会会長候補だ。素晴らしいぜ」

「えへへ♪そうかな~」

「ってちょっと待てッ!誰が大事な妹をそんな変人集団の仲間入りを許すものかッ!」

「…変人とは心外だな春斗。現にお前もその集団の仲間じゃないか!我ら生徒会のな。それにだ、そのお前の妹も喜んでいるようだぞ」

「何だと?」

そう言われたので俺は、明日香を見てみる。…確かに、嬉しそうだな。
明日香は、堪えきれないのか表情が崩れて、だらしなく微笑み、そして笑い出していた。
俺はそんな明日香に近寄り、明日香の肩をがっしりと掴んで忠告する。

「明日香、よーく聞けよ。お前が何をもって嬉しいかは知らんが、生徒会だけはやめておけ。絶対後悔する。俺が自信をもって断言できる。だから、…な?悪いことは言わん。やめとけ」

「えへへ~♪…え?ボク、別に生徒会に入るつもりないよ~」

「ん?んじゃどうしてそんなに嬉しそうなんだ?こいつに生徒会のことで褒められたからじゃないのか?」

「もちろんそれも嬉しかったけど~違うんだよ。それよりもっと嬉しいことがあったんだよ~♪えへへ」

明日香は、はにかんだ表情で、照れるようにもじもじしながら上目遣いで俺を見る。

「あぁそうかい。よかったな」

「お兄ちゃんは何だか聞きたくないの?」

「別に。どうせ明日香のことだからまた良からぬことでも考えてるんだろうさ」

この展開はそうにちがいない。
俺は、冬姫と違ってちゃんと学習機能が搭載されてるのさ。

「むぅ~~」

「むぅ~するんじゃない。ほら、むくれてないで準備しろ。こらぁッ!かえでいつまで寝てんだッ!起きやがれッ!」

「おぉ~。ようやくやる気になったようだな春斗」

「まぁな。今はもうどうにでもなっちまえって感じなんだよ」

どうせ回避できないならとことんやるしかないからな。

「いい心意気だぜ!さすが、我がホープだ。お前の働きに期待しているぞ」

「ホープってのは全力で遠慮させてもらうが…まぁ、こっちは全力で盛り上げてやるぜッ!」

俺と凍弥はがっしりと手を握り締めるのだった。

「じゃ、これより新入生歓迎会『俺たちの生徒会がこんなに普通なわけがない』ゲリラ作戦を開始するぞ。皆、用意はいいな?」

「そんなのとっくの昔に出来てるぜッ!」

「フッ、面白いことになってきたじゃねぇか」

「あれ??暁、生きてたん??」

「あぁ、おかげさまでな」

「俺はてっきりお星さんになったのかと」

「んなもんならねぇよッ!!だがまぁ、空を飛ぶのもいいものだぜ??」

「あ、そうほいじゃ☆そーらーを自由に…」

再びあの国民的猫型ロボットアニメOPのような歌を口ずさみながらかえでは、満面の笑みで思いっきり脚を振りかぶる。

「すみません、空はもう勘弁してください、お願いします」

まさに電光石火の陳謝。

「しょーがないなぁ☆ぐふふふふ☆」

「ったくよ。やっぱロクなことにならなそうだし帰るわ、んじゃまたな」

「まぁ待つのだ、暁」

「うっせーッ!!!俺は帰るって言ったら帰るんだッ!!!!」

有無言わさず、危険を察知した野鼠のようにそそくさと出て行こうとする暁に、

「…いいんだな??『桃源郷』だぞ??」

「…ッ!!!!」

その言葉に耳を疑ったのであろう暁は、反射的にバッと振り返る。

「貴様、今、何と??」

恐る恐る訊ねる。