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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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第1章  5話  『少女との再会』

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なぜか凍弥は激昂して、俺を嗜める。

「何でだよッ?!ワケワカラン」

「こういう時は合言葉と相場が決まっているじゃないか!」

決まってねぇよ。…それはどこの世界でもお前だけだ。
そう言うと凍弥は、ドアの前まで近づいていく。

「開けええええぇぇええッ!!」

「ドアああああぁぁああッ!!」

何だそりゃ?
すると、ドアが開いて中から姉さんが出てきた。
…っておーい、生徒会。

「おっ♪春くん♪さっきはありがとー♪♪この通り助かったよ♪♪それにトーくんいらっしゃい~♪よく来たね。さっ、早く入って。誰かに見つかっちゃったら大変だからね♪」

そう言って姉さんは、俺たちを早く部屋の中に入るよう急かす。
そんでもって俺たちは部屋の中に入る。…何かまるでどっかのヤヴァイ組織に狙われてるヤツみたいだな。

すると、姉さんがいきなりくるりと反転し、俺たちに向き直ってこう言った。

「ごめーんッ!!せっかく来てもらっちゃったんだけどお姉ちゃん用ができちゃった!だから、残念だけどこのパーティには参加できないのだよ~ごめんねッ!」

とすまなそうに手をあわせ、ホントに悔しそうに涙を流しながら……っておいおい。

「そうですか…。それは少々困った事態になりましたね。うーむ…」

こいつはこいつで何やら考え込み始めたやがったし。
…この二人は他にやることはないのだろうか。
俺か?決まってるさ。俺はもちろんこうするのさ。

「あぁ、そうなんですか。それは残念ですね~」

といかにも残念そうな表情でそう答えた。
…『あくま』でも表面上だけどな。
いやでも助かったぜ。

姉さんが無理なら自動的にこの場はお流れになるだろう。
さらば、悪に染まっていた昔の俺…。

しかし、次の瞬間、姉さんはまるで天使から悪魔へジョブチェンジした妖精ように微笑んだ表情に変貌を遂げ言った。

「えへっ♪そう言うと思ったから、私がなんと…ッ!!助っ人を用意しちゃったよ~ん!!どうだぁ~ッ!!」

「何ぃーッ!!」

「おぉー!さすが会長ですね。俺の見込んだ目に狂いはなかったです」

「えへへ~♪この私を誰だとお思いでぇ~?生徒会長の祢音さんなんだよ~」

甘かったッ!!この人があの悪知恵マシーン小日向祢音であることをすっかり忘れてたぜ。この人がこんなことで終わらせるわーけがないッ!!姉さんなら意地でもどうにかしてしまうだけの力、そして、権力があるんだッ!!

それはやがて、この力で学園全てを自分の支配化と化すのも時間の問題だろう。
…あぁ、何でこんな悪魔を世に生み出してしまったのか。実の姉としてこの上悲しいことはない。

「あはは~…ってどうしたの春くん?突然涙を流して…。もしかして、そんなに嬉しかったの?春くんが泣くほどなんてお姉ちゃん頑張った甲斐があるよ~♪」

なんとも言えないとびきりな笑顔で、姉さんはすごく満足そうだった。

「ハハハ…。もう、そういうことにしといてください…。はぁ…」

もうこうなっては、姉さんを止めることなど不可能だ。…諦めよう。

-ぽんぽん

振り返ると凍弥が俺の肩を叩いていた。…ってなんだよ。

「俺は嬉しいぞ~春斗。そこまで成長してくれて…見直したぜ、おい!」

「何がだッ!!」

どいつもこいつも馬鹿ばっかだ。

「それで、会長。助っ人…と言いましたが、もう来ているんですか?」

「ううん~まだ来てないよ。もう一人呼んでくるとか何とかで今呼びに行ってるよ」

なにぃ~何と余計なことをッ!!

「そうなんですか!?その助っ人とやら中々見所ありますね!素晴らしい!是非、我らの生徒会にスカウトしたいものですね」

「そうだね♪後でスカウトしちゃおっか~♪」

やめてくれ…。また、あそこに(生徒会)変なのが増えるから。
この生徒会は変な組織にでもなるつもりなんだろうか?
…そうだな、例えば、芸人育成組合とか、地球愉快化組合…って考えていて馬鹿らしくなってきたぜ。

-トントン

「あ、来たみたいだよ~♪はーい、今開けるよ」

「さて、どんな助っ人なのか楽しみだな」

凍弥は期待に満ちた表情で助っ人とやらの登場を今か今かと待ちわびていた。
そして、姉さんは、ドアまでパタパタ駆けていき、ドアを開ける。
…ってこら、合言葉はどうした生徒会?合言葉はよ。
命に関わるんじゃないのか、違うのか?…俺限定かよ。

そして、ドアから現れたのは俺の予想だにしなかった人物だった。

「おい、明日香。何でお前なんかがここにいるんだよ?」

「ひ、ひどいよ~お兄ちゃん~!ボクのことを『なんか』って言うなんて~!今のでボクの中のお兄ちゃん度がすごく減ったよ」

「何だよ、その『お兄ちゃん度』ってのはよ?」

「お兄ちゃん……知りたいの?ホントに??」

明日香は、ホントにぃってな表情で不敵な微笑みを浮かべる。
…って何だその顔は。

「冗談だ。別に知りたくもないさ。どうせ、くっだらんことだからな」

と言いつつもちょっと気になるぞ。何だろうな『お兄ちゃん度』って。
…うーん、MAXになると俺がパワーUPか?いや、明日香が持ってる能力だからHPとかMPの類か?…だとすると、OP(お兄ちゃん度)ってか?…って何だそりゃ。
自分で考えといて段々アホらしくなってきた。

「お困りのようだね。予期せぬ難問の壁に立ちはだかり、青春の情動を抑えられない性少年、春斗よ」

「誰がじゃッ!!ってその声は…まさか貴様かぁ!!馬鹿かえでッ!!」

ドアの向こうからそろりと現れるは学園一、いや世界一馬鹿で阿呆な女ッ!!
その名も『フーリッシュ・ザ・カエデ』。

「…春斗~。今さ心の中であたしのことでひどく馬鹿にしなかったかい?」

「んあ?よくわかったな。その通りだ」

「って少しは誤魔化せよ~!何、はっきりと認めてんのさ!!春斗には、このバレそうでバレないよう誤魔化そうと日夜励む浮気夫のスピリットってもんがないのかぁ~!」

いやいや。それダメだから。
ってかそんなスピリット事態が不純だろ、どう見てもよ。

「はんッ!貴様なんぞに誤魔化すまでもねぇ。…いや、誤魔化す意味もない。こんな不純なことばっか考えてる社会性ゼロ人間なヤツにはなぁッ!!」

「何デスとッ!?おうおう、あたしに喧嘩売ってんのかい?兄ちゃんよ~」

威勢がいいトラのような声で挑発するような目でにやりと睨みつけるかえで。

「上等だぁッ!こらッ!貴様なんぞ返り討ちにしてやるぜッ!かかってこいや!」

俺も手をちょいちょいとやって挑発してやる。

「後悔するといいさ!このあたしに喧嘩を売ったことを~!くらえーッ!」

かえでが腕を振り回しながら俺に迫ってくる。…へッ!馬鹿が。
そして、俺は、対抗するべく身構える。

だが、その時、

「ちーっすッ!!会長ッ!!!折り入ってこの私めから会長への溢れんばかりの熱いラブいお話が……」

タイミングがいいのか悪いのかヤツはやって来てしまった。
そう、誰もが震撼させるMr.KYがな。
あ、この場合、むしろ救世主か。

勢いよくドアをぶち開け、頬を紅潮させ、瞳をハートに景気のいい声を発した暁は、途端に壁に埋まっていた。