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シリアル

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まあ、毎朝こんなことを思っているわけではない。
今日が、仕事の休みの日であることが大きな要因だろう。
少し日頃を顧みるならば 豆腐とわかめの味噌汁を 炊きたてのそのままで充分に旨い白飯にぶっかけ がっつり茶碗の端からかきこんで食べたり、トーストを飲み物で流し込むようであったり、冷蔵庫のドアポケットから取り出した牛乳パックからカップに入れただけの牛乳を飲んで はいおしまい、という日もある。
そんな食べ方をする僕を責めることなく、彼女はいつも朝食を食卓に並べてくれるのだ。

ふと思った。
僕が 食べて行かれなかったあのおかずは どうしているのか。
和食であるなら 焼いた塩鮭の残りや 副菜のおひたし、卵焼き。
朝から 中華料理はないものの から揚げや春巻きが登場することもある。

僕は、そのすべてを彼女が朝食や昼食で片付けているのだろうと推測している。
彼女は、パンが好きなのに……

「ごちそうさま」
僕は、食卓から立ち上がり、リビングというほど広くはないけれどソファーのある場所へと移動した。
今朝届いた新聞の一頁目に格段に大きく書かれた見出しの題を見ながら 何となく納得した「うん」と声を発した。リードと言われる記事を要約した文章を読み終え、ふと顔を上げた。いつもならすぐに食器の片付けをする彼女がいない。

普段、僕が食事しているときは、他の家事や用事に少し席を離れることはあっても 作った料理を食べる僕のことを(嬉しそうに)見ていてくれるのに。  

僕は、本文を飛ばし、最終面のテレビ番組の頁にざっと目を通すと その面を内側に元の新聞紙の折り目どおりに閉じた。
ソファから立ちあがり、短い廊下に出てすぐ右横の扉をノックした。
僕と彼女の寝室兼身の回りのものが置いてある部屋だ。
コンコンと軽そうな合板の扉を叩き、室内に居るだろうかと彼女の確認と入室の了解を促した。

作品名:シリアル 作家名:甜茶