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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 その頃。
 私は目を覚ますと遊園地のベンチに座っていた。
 周囲には若いカップルや家族ずれの客が手を繋ぎながら歩いていた。
「ここは…… 私どうしてここに?」
 私は額に手を当てて記憶をたどる。
「確か、塩田さんのバイト先に行く最中で…… あ、そうだ!」
 私は思い出した。
 そうだ。私は塩田さんの夢の中に入ったんだ。
 私は立ち上がるとやるべき事を思い出した。
 この中から塩田さんを探しだして夢から覚まさせる事だった。
 私は早速行動を開始した。

 とりあえず遊園地の中を歩いてみる、でも問題は塩田さんはどこにいるかだった。
 下手に刺激しなければこの精神世界を傷つけずに済むんだろうけど、万が一という事もある…… 私は十分周囲に気を配りながら歩いた。
 しかし、夢の中とは言え遊園地に女1人で来ると言うのも寂しい物だ。
 家族連れはともかくとしてカップルを見る度に無性に腹立たしくなる、やっぱり塩田さんは彼と再会した時にこう言ったのを望んでいたんだろうか?
「でも何て言おう…… この前みたいな事にならなきゃ良いけど」
 私は腕を組んだ。
 出会ったばかりの頃の塩田さんは我が強く、人の話を聞こうとしなかった。
 私も彼女を説得しようとして失敗した事がある、またあの時みたいにならなきゃ良いけど……
「あっ」
 私は足を止めた。
 目の前に塩田さんがいた。
 相変わらず青いワンピースの上から白いボレロを羽織り、両足には白いヒールと言うお洒落な格好だった。
 勿論1人じゃ無い、側にいるのは緑と白のシャツとジーンズ姿だけど、その顔は見忘れたりはしない、何しろ兄貴をボコボコにし、話しでしか聞いてないけど不破さん達を半殺しにした相手だったからだ。
「……レン」
 私はそいつの名前を呟いた。
 正直兄貴達はもう気にして無いみたいだけど、私は正直レンに抵抗があった。
 私が直接レンと話し合った事が無いと言う事もあるけど、やっぱり兄貴が目の前で殺される寸前まで追い込まれたのが凄く効いてる。
 彼に対して私は恐怖しか無かった。
 でも尻ごみしてる訳にも行かない、私は覚悟を決めると深呼吸して足を前に踏み出した。
「塩田さ……」
 私が言い出したその時だ。
 突然周囲の風景がまるでセピア色に染まった。
 それと同時に周囲の人達の足も止まるとまるで石像になったかのように動かなくなった。