SAⅤIOR・AGENTⅡ
塩田さんの事に異星人が関わってる事が分かった。
でも問題は奴の居場所だった。塩田さんを助けるにも検挙するにも奴の居場所が分からなければ意味が無かった。
『居場所は分かってるわ…… 妹さん、貴女スマートフォン持ってたわよね? ちょっと見て貰って良いかしら?』
「えっ? あ、はい」
私はスマホを持つとスイッチを入れた。
すると……
『よう、妹!』
「み、三葉さんっ?」
私は目を見開いた。
それは兄貴達も同じだった。
何しろ待ち受け画面の中に三葉さんがいたからだ。
分かっていたとは言えいきなりドアップで現れれば誰でも驚く。
三葉さんはネット回線を繋げるとあるサイトを立ち上げた。
それはあの夢占いのサイトだった。
ネイロス・カードの羊の絵の上から金色で夢占いと書かれた画面にはこう書かれていた。
『
――夢占い――
現代人の悩める問題を解決いたします。
他言無用、情報厳守、どのような些細な悩みでも気軽に相談ください。
』
と、前半は書かれていた。
でも問題は次の文面だった。
「えっと…… 初回無料、ただし次からは1回につき500円」
「結局お金取るんじゃん」
「ま、良くあるよなぁ、そう言う事」
兄貴は両手を上げた。
そう言えば以前松井さんもそう言っていた。
この手の商売は占いだけじゃなくてテレビの専門チャンネルやスマホ・ゲームもそうだ。
占いが当たれば誰でもまた行きたくなる…… でもたった500円くらいであそこまでなる物か?
すると三葉さんはあるサイトのページを見せた。
「じゃあこいつも良くある事じゃねぇか?」
三葉さん画面を変えた。
それはよくあるフリーの大型書き込みサイトのだった。
『ある所で手に入れた物で素敵な夢が見れました。1万円は無駄じゃ無かったな』
『ちょっと高いけど夢で幸せになる為なら平気です、お金で解決できるなら安いものです!』
『別れた元彼と仲直り出来ました。1万円は高いけどありがとうございます』
「ちょ、これって……」
私は顔を顰めた。
皆も目を吊り上げた。
何だか物騒な話しになって来た。
しかもこの書き込みの発信元を調べた結果、全員ネイロス・カードを購入していた事が分かったと言う。
でもこれって……
「冗談じゃねぇぞ…… これ明らかに霊感商法じゃねぇか」
兄貴は真面目な顔になって言った。
塩田さんが何の悩みを相談したかは知らない…… それでもし霊感商法に引っかかってバイトを始めたとしたら忌々しき事態だ。
一体何が塩田さをそこまでにしたのか……その事を考えていると、不破さんが言って来た。
「あれ?」
「どうしたの?」
「いや、大したことじゃないんだけど、クレームが無いなって……」
「クレーム?」
私は画面を見る。
中には『胡散臭い』とか『絶対嘘だ』とかそう言う書き込みはあるけど、どのコメント欄を見ても『夢が当たった』とか『ご利益があった』とかはあっても『外れた』ってコメントが無かった。
占いは昔から『当たるも八卦、当たらなくも八卦』と言って、良い結果なら嬉しい外れたらそんな物だと思ってしまう。
でもお金が…… 1万円も大金がかかってる以上外れたなんかじゃ済まされない、むしろ外れてる人間が1人もいないと言うのがおかしい。
「アタシ、ネット良くやるから分かるけど…… こう言ったのって必ずアンチがいるはずだよ」
「確かに…… 妙だな」
「上手く誤魔化してるんじゃねぇのか? 多分『外れても責任取りません』みたいな事言われてよ」
「いや、それにしても1つくらいあってもいいはずだ。所詮人間なんだ。契約や約束だとしても腹いせする人間だっている」
『って事は理由は2つだ。1つはオレ様みてぇに電脳世界に入り込んでこう言ったサイトの書き込み消してる…… だがその可能性は薄いぜ、何しろこんな感じの書き込みサイトなんざ腐るほどあるからな」
「まさか!」
『ああ、残るはもう1つ…… 本当に『外れて無い』からだ。今の地球人には自在に夢を見せられる技術は存在し無ぇ…… こいつを使わねぇ限りはな』
三葉さんが取り出したのはネイロス・カードだった。
「お前、良く手に入ったな」
『オレ様にもコネがあってな、ちょいとクラスの女子から借りただけだ』
「お前…… まさかまた脅迫したんじゃないだろうな?」
『おいおい親友、お前まで疑うのか? ちゃんとした物々交換だよ、有名スイーツ店の食べ放題券と引き換えに貸して貰っただけだ』
正直怪し過ぎる……
でもこの人は女には酷い事をした事が無い、今は信じよう、今は……
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki