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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 次の授業が始まるので私と兄貴は教室に戻った。
 でも授業が始まっても私は塩田さんの事が気がかりでならなかった。
 数学担当の竹内が黒板に書いた問題を解くように指された兄貴が黒板の前で唸っていて、呆れた竹内が怒る姿を見て皆が笑っている声も私の耳には入らなかった。
 それは昼休み中に松井さん達と食事をしている時も、午後の授業も同じだった。
 
 放課後を迎えると私は荷物を纏めて学校を飛び出した。
 理由は勿論塩田さんの様子を見に行く為だ。今は午後だからホテルの清掃に行ってるはずだ。
 でも塩田さんの元へ行く前にやらなきゃいけない事があった。とても癪な話しだけど……
 私は一旦兄貴と供にマンションに向かい、兄貴に頼んで塩田さんのお弁当を作って貰った。
 私じゃまだまともな料理は作れないし、コンビニでお弁当と栄養ドリンクを買うのもどうかと思ったからだ。
 セイヴァー・ベースのキッチンで料理を作り上げるとそれを持つって兄貴と供に塩田さんの元へ向かった。
「ま、口に合えば良いけどな…… なぁ舞?」
「えっ? ……ああ、そうね」
「何だよ、ボーっとして…… 安心しろ、ちゃんとカロリー計算してあるって」
「そうじゃないわよ、何で塩田さんがアルバイトを始めたのか気になってただけよ」
「そんなに気になる事か?」
「だってあの塩田さんよ、何か買いたい物があるのかなって思って……」
 私は考える。
 塩田さんが気を引いてる物と言えば衣類くらいなものだけど、だからって一食抜いてフラフラになるまでお金を貯める訳が無い。
 まさか本物のお姫様のドレスでも欲しいのか?
 いや、そんなコスプレ衣装買って喜ぶのは不破さんくらいなモンだ。塩田さんだって女の子だから喜ばないとも限らない…… でもメリットを考えるとそんなの手に入れて何の意味がある?
 きっと何か別の理由がある、私はそう思った。
 
 塩田さんのバイト先まで後数メートルって所だった。
 私達の目の前に無数の人だかりが出来ていて、救急車が止まっていた。
 私達は人だかりをかき分けて最前列に出る、するとそこでは救命士2人に担架で運ばれる塩田さんの姿が写った。
「塩田さん!」
 私は叫ぶ。
 すると兄貴が救命士に尋ねた。
「どうかしたんスか?」
「お知り合いの方ですか? 彼女が急に倒れたそうなんです」
「塩田さん」
 私は顔を顰めた。
 あれだけ顔色が悪ければ倒れて当然だろう。
 救命士はそう言うと救急車の中に塩田さんを乗せ、サイレンを鳴らしながら去って行った。
「大丈夫かな?」
「タクミーっ!」
 私達の耳に聞きなれた声が入る。
 振り向くと不破さんが手を振りながら大神さんと走って来た。
 私達の側にやって来ると大神さんが尋ねて来た。
「この人だかり…… 何かあったのか?」
「ええ、実は……」
 私は説明する。
 すると不破さんは顔を顰め、大神さんは舌打ちをした。
「遅かったか」
「遅かった?」
「うん、実はメグミ…… 異星人に騙されてたんだよ」
「何ですってっ?」
 私は思わず叫んだ。
 すると周囲の人達は何事かと振り向いた。
 今のこの状況を忘れていた私は口元を抑えると兄貴達と供にその場を去った。