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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 それからすぐ塩田さんは保健室に運ばれた。
 案の定ベットの1つは三葉さんが独占していたので、塩田さんはもう1つのベットに寝かせつけて里中先生が様子を見てくれた。
 兄貴も保健室で塩田さんの様子を見守った。
 すると3分もかからない内に里中先生がため息を零すと目を吊り上げて言って来た。
「恵さん…… 貴女ちゃんと食べてる? それにあまり寝て無いでしょう」
「えっ?」
 私は顔を顰めた。
 塩田さんが食事をしてない? おまけに睡眠不足? 冷静に考えてありえない事だった。
 この人は礼儀正しいし几帳面だ。勿論健康面でも気を使っている。
 昼食だってかなり栄養のバランスを考えたヘルシーで体に良さそうな物を食べてた。しかも自分で作ってだ。
 でもそれが今じゃパンと牛乳だけ…… しかも朝食は食べて無いと言う。
「おいおい、ちゃんと食っとかねぇと体もたねぇぞ」
「冬は寒いから脂肪の燃焼が低いからな、ただメシ抜くよりカロリーコントロールした方が効果的だぜ」
「三葉さん、ダイエットの話ししてるんじゃないんですから」
 って言うかいつからダイエットの話しになったんだ?
 でも塩田さんはお洒落の事になると人間変わるし、可能性が無い訳じゃ無かった。
 すると塩田さんは言って来た。
「いえ、ただアルバイトを始めただけです」
「アルバイト?」
 私は首を傾げた。
「お前、知らなかったのか? 生徒会だろ?」
「別にアルバイトの許可に生徒会は必要ないわよ…… 校則知らないの?」
 私は兄貴に言った。
 ちゃんと生徒手帳見ろっての……
 生徒会が行う仕事は主に部活や団体に振り分ける予算の管理や古い書類や資料の管理、もしくは学校全体の活動記録の作成、体育祭や文化祭など季節によって行われる出し物の運営や企画…… それを除けば殆ど使われて無い教室の掃除か花壇や校庭の草むしり、あいさつ運動のどちらかだ。
 一応この学校はアルバイトを許可してくれるし休学にもしてくれる、勿論親の許可を得た上で教師にアルバイト届を提出し、生活態度と学業優先と言う条件があるけど基本学校側は文句を言わない。
 ちなみに兄貴達の場合は犯罪がらみなので万が一の事があった場合、学校側は関与しないという形での特別待遇となっている。
 ただ塩田さんがお金に困ってるなんて話し聞いた事が無かった。
 塩田さんは基本朝6時から8時までコンビニでバイトし、放課後は駅から少し離れた場所にあるホテルで清掃の仕事をしていると言う、しかも今回はテスト期間中だから殆ど寝て無いと言う。
 今回はコンビニの方で本来はいるはずの店員が風邪で出れなくなって代役を頼まれたと言う、ちゃんと担任に休学届も出したらしい。
「もう、こんな時間、早く行かないと……」
 塩田さんは腕時計を見ると体を起こした。
 勿論保健医でもある里中先生がそれを許す訳が無い。
「駄目よ、もう少し寝てなさい、仕事先には言っておくから」
「すみません、どうしても休めないんです……」
 塩田さんは消えそうな声で言うとベットから立ち上がった。
 そして私が運んで来て今はベットの横に置いてある自分の荷物を手に取ると保健室の扉を開けた。
「……失礼します」
 塩田さんは頭を下げると扉を閉めた。
 残された私達はしばらく茫然としているだけだった。