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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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「ったく、折角の休みだってのに……」
 オレは舌打ちをしながら奴の後を追った。
 壁に背を当てて奴に見つからないように移動した。
『タクミ、お前は休暇中だ。無理に首を突っ込む必要はない、サテラ・ベース警護のセイヴァ―・エージェントに任せた方が良いんじゃないのか?』
「分かってるよ、だけど目の前に犯罪者がいるってのに見過ごせねぇだろ」
『ん? タクミ、ミーゼルから通信が入ってるぞ』
「あ、悪ぃ、後でかけ直すって言っておいてくれ」
『あ、おい!』
 オレはギルの言葉を振り切り奥へ進んだ。
 
 やがて1つの部屋にやって来た。
 ドーンはその部屋に入ると案内していた係員は仕事に戻る為にオレの方へ向かって来る、だがオレは素早く係員を口を塞ぐとみぞおちに一撃を食らわせた。
『フゴッ?』
「すんませんね」
 オレは謝る。
 可哀想だけど眠ってて貰う事にした。
 とりあえず近くにあった倉庫に押し込んでおくとドーンが入った扉の前に立って耳を澄ませた。
『それでは今夜中に抜きだして……後は地球で売りさばくと言う事で』
『それにしても良いアイデアですね、まさか展示されてる人形の中に例の物が入ってるなんて誰も思わないでしょうね』
『セイヴァー・エージェントと言えどもこんな物ですよ、本当に単純な連中で大助かりです』
「野郎……」
 言ってくれるぜ、だけど良く分かった。
 ここの展覧会の人形の中に宝石を仕込んで宇宙に流し、別の惑星(地球)で売りさばくって事だ。
 サテラ・ベースだと足が付く可能性が高いから地球にいる異星人に売りさばこうって魂胆だ。
 しかし話しから察するに真相をつかんだオレは立ち上がってその場から離れようとした。
『まぁその前に……邪魔な鼠を始末しなければなりませんね、先生』
「えっ?」
 途端オレに背筋が寒くなった。これは殺気だった。
「まずい!」
 気づいた時にはもう遅かった。
 慌ててドアから跳び退くと轟音を立てながらドアが銃撃された。
「危ねぇ……」
 後少し遅ければオレが蜂の巣になった。
 すでにバレるなら仕方が無い、オレはギルに手をかけるとセイヴァ―・アームズを取り出した。
 そして殆ど原型を留めて無いドアを蹴破って中に入る。
「よう、手荒い歓迎ありがとうよ」
 赤い絨毯部屋の奥には大きな窓、部屋の中央には来客用のソファーと小さな机、壁際にはいくらするのか分からない酒瓶が並んだ棚、部屋の隅には観葉植物が置かれている。
 そして部屋の中には3人の異星人がいた。
 1人はあのドーン、もう1人は展覧会の責任者のロウス・パトラー、そしてもう1人は両手にレーザー銃を持った異星人だった。
 こいつには見た事が無い、左右2つに尖った黒い髪、鋭い2つの目に頬からナマズの髭みたいな物が生えた5本の指に水かきが生えた長身の男だった。
『何者ですかな? ご招待した覚えはありませんが?』
 ロウスが言って来る。
 オレは皮肉を込めて言い返した。
「アンタが言ってた……無能な連中の1人だよ」
『セイヴァー・エージェントっ!』
 ドーンは慌てて後ずさりをする。
 だがロウスは余裕ぶって言って来た。
『慌てる事はありませんよ、だって誰も聞いている人間なんかいないんですからねぇ、バイラ先生?』
 するとバイラと呼ばれた男はオレに向かって拳銃を向けた。
「死人に口無しって事か……だけどそう上手くは行かないぜ」
 オレは足元に転がるドアの破片を蹴り飛ばした。
『チッ!』
 バイラは両手のレーザー銃を乱射する。
 囮になった瓦礫はバラバラに砕け散ったが、オレは奴の視界が封じられた瞬間にテレポートを使って敵の背後に回り込んだ。
『何っ?』
「遅せぇ!」
 セイヴァ―・アームズの柄に光の粒子が集まり、真っ赤に輝く光の刃が作り出された。
 バイラは慌ててオレに向かって銃口を向けるが、オレの刃の方が早かった。
 真っ二つに斬り裂かれた銃身が音を立てて床に落ちるとオレは切っ先をバイラの首筋に向けた。
「武器携帯の現行犯だが……とりあえずこいつらの検挙が先だ。大人しくしてろ」
『ああ……お前がな!』
 バイラは目を大きく見開く。
 上半身のベストの下から2本の腕が生えるとオレの右手首と首をつかんだ。
「ぐっ……」
 オレの足が床から離れる。
 ものすごい力でオレは振りほどく事が出来なかった。これが本当の奥の手ってやつか?
 バイラは口の端を上にあげた。
『甘かったな! このまま捻り殺してやる!』
 さらに力が入ってオレの首が締め付けられる。
「ぐっ……がぁ……」
 呼吸が出来なくなり、右手の力が抜けてセイヴァー・アームズが転がり落ちる。
 後ろからはオレを嘲笑うドーンとロウスの笑い声が聞こえる、良い気なもんだ。
 だけどオレにも手が無い訳じゃない、オレは唯一動く左手をギルに当てた。
「……セイヴァ―・ギア……オンっ!」
 ギルから光が溢れるとバイラは目を眩ませてオレから離れた。
 光が晴れるとオレにはセイヴァ―・ギアが装着されていた。
 こいつはサイモンが作ってくれた戦闘強化スーツだった。
「生憎だったな、奥の手があるのはオレも同じだ」
 オレは身を構える。
 するとバイラは4本の手を握りしめ、ボクシングの様なポーズをとるとオレに向かって飛び込んできた。
『くらえっ!』
 4本の腕の素早いジャブが放たれる。
 普通の地球人じゃ何が起こったのか分からないまま死んでるだろう。
 だがオレは改造人間なうえにこのセイヴァー・ギアはオレの能力をさらに倍増させる能力を持ってる。
 オレは奴の攻撃を全てかわすと懐に入り込んでボディ・ブロウをお見舞いする。
『ぐはあああっ!』
 顔を歪ませたバイラは前かがみになる。
 さらに引き抜いた右手に力を入れると右フックを食らわせた。
『ぐああああああっ!』
 吹き飛ばされたバイラが酒瓶が入っていた棚にぶつかり、棚と酒瓶は音を立てて崩れ落ちた。
 この隙にオレは床に落ちているセイヴァ―・アームズを拾い上げる。
『おのれぇ……』
 酒塗れのバイラはオレを睨みつけながら立ち上がった。
 オレはセイヴァ―・アームズを構えて叫んだ。
「α・モード!」
 今度は金色の光が集まり刃が出来る。
 セイヴァ―・アームズは大きく分けて二つの能力がある、1つはさっきの『β・モード』と言って、熱エネルギーを圧縮して作りだした刃を形成してぶった斬る……早い話が物体を斬る為の戦闘用の刃。
 もう1つがこの『α・モード』と言う斬った対象物をデータ化してゼルベリオスに転送する犯罪者検挙用の刃だった。
「武器携帯、および公務執行妨害で検挙だ!」
 オレは床を蹴って素早く間合いを詰め、両手で握ったセイヴァ―・アームズを一気にバイラの腹部に突き立てた。
『ギャアアア―――――――ッ!』
 断末魔を上げながらバイラは光の粒子となって消滅した。
 オレは今度は後ろを振り返る。
『『ヒィイっ!』』
 ロウスとドーンは両肩をビク突かせた。
 オレは今度は2人目がけてセイヴァ―・アームズを向ける。
「今度はテメェ等だ。覚悟しろ!」
『く、くそっ!』
 ドーンは歯を軋ませながら破れかぶれで部屋から飛び出そうとする。