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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 恐らく佐伯さんにカメラを与えた相手を目撃した為に、2人に脅迫されていたんだろう、そう考えると辻褄が合う。
 私は遊美さんの二の腕をつかむんで揺すった。
「遊美さん! 私だって何度も異星人に襲われてるから気持ちは分かるわ、でも逃げちゃいけない時だってあるの」 
「………」
「お願い、私の友達を…… 塩田さんを助けて!」
 私は涙を流しながら全力でお願いする。
 すると私の願いは届いた。

 遊美さんは仕事を終えて帰ろうとした時、半開きに生っていたこの部屋で佐伯さんと『その人』が話しているのを目撃したらしい。
 そこを見られて『誰かに言えばお前を殺す』と言われ、目の前で元の姿に戻ったらしい。
 多分釘をさす為だったんだろう、地球人にとって異星人の存在はモンスターも同然…… いや、この場合は地球人だってモンスターだ。
 
 話を聞いた兄貴達は里中先生に連絡を入た。
 待つ事数分、答えが戻って来た。

 犯人は冴子編集長だった。

 編集長の本名はファリンク星人、ルメス・ビーク、元々は自分の惑星では売れっ子のモデルだった。
 でも年を取る度に売れなくなって誰からも相手にされなくなった彼女は、エステや様々な美容法を試したらしい、でもどれも望んだ結果が現れず、最終的にとんでもないやり方に手を染めたらしい。
「皮膚移植?」
 皆顔を顰めた。
 冴子編集長は仕事の都合と称して様々な惑星を転々としていた。
 でも彼女の身の回りでは若い女性が必ず顔の皮膚を剥がされて変死されていると言う事件が起こっていた。
『恐らく前の惑星でも同じような手口で被害者の女性を誘拐して殺害してたんでしょうね、隠れ蓑にしていた奴は記憶を消される上……  セイヴァー・エージェントに存在を知られても、彼女自身はすでに顔を変えて逃亡した後だから分からずじまいってシナリオよ』
「つまり自分の手は汚さずって訳か…… オレ様が1番気にいらねぇやり方だぜ」
「どうしよう、塩田さんが……」
 私は口元を抑えて涙を流した。
 すると兄貴が言って来た。
「落ちつけ、要するに塩田ちゃん助けりゃ良いだけの話しだろ!」
「だけど! 私が止めてれば……」
 私の責任だ。
 確かにモデルをやりたいと言ったのは塩田さんだし、今回の囮捜査は里中先生に頼まれた事だ。
 でも理由はどうあれ引き受けた以上は私の責任でもある、何が何でも彼女を止めておけばこんな事にはならなかった。
「過ぎた事を言っても仕方が無ねぇだろ、オレ様が町中の監視カメラを調べてやるよ!」
「アタシも、空から探す!」
「走って探せば良いだけだ!」
 三葉さん、不破さん、大神さんは部屋から出て行った。
 するとギルから里中先生の声が聞こえて来た。 
『タクミ君、貴方は妹さんを…… そして後始末はお願い、警察へは私が通報しておくわ』
「了解」
 それだけ言うと兄貴はため息を零した。