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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 星英社『HAPPONESS』所属、佐伯幸一…… 彼は塩田さんの愛読雑誌の専属カメラマンだった。
 私達はお土産を持ってセイヴァー・ベースへやって来た。
 ちなみにセイヴァー・ベースに初めて入った塩田さんは目を丸くして驚いたのは言うまでも無い。
 サロンでお茶会となり、私は貰った名刺を兄貴達に差し出した。
「2人供凄いじゃん!」
 不破さんが言って来た。
 実は私はモデルのスカウトを受けたのだった。
 何でも専属モデルの子が突然病気になってしまったらしく、その代理を探していたらしい。
「そうですよね、いきなり声を掛けられてびっくりしました」
 そうは言ってるが、塩田さんは嬉しそうだった。
 そりゃ自分が好きな雑誌のモデルにスカウトされたんだから喜ばない方がおかしい。
「いいなぁ、アタシもやってみたい〜」
「止めておけ、お前じゃただのコスプレ撮影会だ」
 三葉さんが言って来た。
 すると大神さんが尋ねて来た。
「それでどうするんだ? スカウトを受けるのか? 断るのか?」
「ああ、それは……」
 私の答えは決まっている。
 路上でモデルのスカウトなんてありえないからだ。
 こう言ったのは詐欺が多い、ホテルに連れ込んで暴行してお金を巻き上げる…… いわゆるスカウト詐欺と言う奴だ。
 私が『NО』と言おうとした瞬間……
「勿論受けようと思ってます!」
「し、塩田さんっ?」
 いきなり立ち上がった塩田さんに私は両肩をビクつかせた。
「日本1のファッション雑誌のモデルですよ、すごく名誉な事じゃないですか! そうですよね、白銀さんっ?」
 塩田さんは私の両手をつかんで顔を近づけた。
 塩田さんの目の色がすっかり変わっていた。
 私の両手を握ってグイッと顔を近づけた。
「い、いや…… あのね、塩田さん、それは……」
 さすがに私もたじろいだ。
 すると兄貴が叫んだ。
「いいや、駄目だっ!」
「に、兄さんっ?」
 兄貴は目を吊り上げながら言って来た。
「モデルなんて駄目だ! 舞の水着なんて絶対許さねぇ!」
「なっ? 何言ってんのよ、そんな訳……」
 私は顔を顰めた。
 元々電話なんてする気も無かったし、モデルなんてやる気も無い、でもファッションモデルとグラビアアイドルの区別もでき無いこのバカに私が言い返そうとした瞬間、塩田さんがテーブルを叩きながら立ち上がった。
「そんな訳ありません!」
「ひっ?」
 いきなりだったので私は両肩をビク突かせた。
 何か今日はやたらびっくりさせられる日だ。
 塩田さんは雑誌を兄貴の前に突きつけた。
「これは健全なファッション雑誌です! それに夏でも無いのに水着なんて絶対やりません!」
「いいや駄目だ駄目だ! オレは絶対許さねぇ! 妹に如何わしい事をさせる訳にはいかねぇんだよっ!」
「ハッピネスは如何わしくありません! 如何わしいのは御剣さんの頭の中だけです!」
「大体服着なんざどれ着たって同じじゃねぇか! 寒くないし暑く無きゃそれで良いんだよ!」
「ちっとも良くありません! 大体お兄さんがそんなだから白金さんが服に無頓着になるんです!」
 兄貴と塩田さんの間に火花が飛び散った様な気がした。
「ちょ、ちょっと2人供落ちついて……」
 私は立ち上がって2人を宥める。
 確かに兄貴の頭が異常なのは認める、でも塩田さんも塩田さんだ。
 人間は好きな物が目の前にあると盲目になってしまうと言う…… まさに今の塩田さんがそうだった。
 塩田さんは弁護士を目指してるんだからこう言った事を学んだ方が良いんじゃないかと思った。
 するとその時、サロンの扉が開くとタブレットを持った里中先生が入って来た。
「随分にぎやかね」
「さ、里中先生、お邪魔してます」
 我に戻った塩田さんは里中先生に向かって頭を下げた。
「外まで聞こえたわよ、2人供モデルをやるんですって?」
「い、いや、私は……」
「その通りです!」
「いや、塩田さん……」
「だったら丁度いいわ、2人にお願いがあるのだけど……」
 里中先生は右手に持っていたタブレットを私達に見せた。