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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 それから1時間も経たない内に情報が集まり、改めて会議が行われた。
「私達はとんでもない勘違いをしていたわ…… 今まで車を狙った犯行かテロだとばかり思ってたけど、本当は液体火薬の密造だったのよ」
 千鶴ちゃんの推理はこうだった。
 火薬の材料を様々なルートで輸入し、地球で精製、そのまま地球外に運ぼうって魂胆だった。
 現実地球でも足が付かない様に別々の店で爆弾の材料を購入する奴もいる。
 里中先生は爆破事件の起こった順番通りに写真を並べ直した。
「最初のこの廃工場での車の爆発、これは実験だった。そして成功したから輸出しようとしたのね、でも輸送中に車が爆発してしまった」
「つまりこの後の爆破はカモフラって事か」
 兄貴は眉を細めた。
 運送中の車が炎上すればそりゃ疑われる。
 そうならない内に最初の車の実験を思い出し、他の車を爆破させる事で疑いを別の物に移したって訳だった。
「つまり犯人は……」
「製薬会社よ」
 千鶴ちゃんはパソコン画面を映した。
 映し出されたのは1人の異星人だった。
 金色の髪で姿形は人間に近いが耳が長く灰色の皮膚に緑の瞳の男だった。
「ボムド星人マンバ・クーバ、あの製薬会社の代表取締役よ、さらに裏じゃ宇宙テロリストと繋がりもある事が分かったわ」
「んじゃ早速殴り込みだな」
「いいえ、会社にはいないわ、あれから時間が経ち過ぎてる」
 調べた結果、マンバは先日会社を人手に渡し、行方をくらませたと言う。
「ただ地球から脱出した形跡が無いわ…… 宇宙に逃げる為のシャトルはサテラ・ベースにしか無い訳だし、ゲートはセイヴァ―・エージェントの厳重なチェックが行われてる、それにパスポートが無いければ通れないわ」
 里中先生の話しを聞いて私は腕のブレスをみた。
 セイヴァ―・エージェントはサポーター、私や塩田さんみたいな協力者はこのブレスがサテラ・ベースに行く身分証になる。
 だけど一般の異星人はパスポートを使わなければいけない。
 異星人の中には変身できる者もいる、パスポートには自分の体の一部をデータ化して読み込ませる事で本人かどうかを確認できる。
 変身できる異星人もDNAの配列を変えても本人かどうかが分かる、サテラ・ベースではチェックも厳しいし、逃げられる可能性は低い。
「ただ、探索派のセイヴァー・エージェントによるとマンバは桜星町外に別荘を持っている事が分かったわ、行くとしたらそこよ」
「じゃあ、殴り込みだな、とっとと終わらせてパーティと行こうぜ」
 兄貴は立ち上がると右手の拳を左手の平に叩きつけた。
「じゃあ頼むわね…… 出動よ!」
「「「了解っ!」」」
 兄貴達は立ち上がると敬礼し、部屋を出て行った。
「あ、待って兄さんっ!」
 私も立ち上がって表に出ると兄貴を止めた。
「何だ?」
「あ、あのさ…… 今日は来てくれるんでしょう?」
「ああ、必ず行くよ、今度こそ時間厳守でな!」
 兄貴は並びは悪いけど白い歯を見せて私に背を向けて走って行った。

 私は再び保健室へ入った。
 すると里中先生がクスクスと肩をゆすって笑っていた。
「お兄さん、来てくれると良いわね」
「そ、そんなんじゃないですよ、この前は待ち合わせの時間に来なかったんですよ」
 私は眉を吊り上げる。
 以前兄貴と出かける用事があった。
 でも当時は不破さん達がいなくて兄貴だけで異星人犯罪者の検挙に向かった。
 話を聞く限りじゃ結構苦戦したらしく、ダメージを追い過ぎて回復して待ち合わせ場所に来たのは待ち合わせ時間を大きく過ぎた真夜中だった。
「今回はファーラン達もいるし、何とかなるでしょう…… ただ」
 先生は呆れた感じでため息を零した
 勿論私にではなかった。
「サイモン、貴方も聞いてるんでしょう、さっさと行ってきなさい」
『ちょいと待ってくれ』
 すると里中先生のパソコンに三葉さんの顔が映った。
 里中先生はこの保健室…… いや、学校中の至る所に盗聴器やカメラが仕掛けられている事を知っていた。
 画面に映し出されたサイモンはセイヴァー・ベースの自分のラボで自分専用のセイヴァー・ギアを作っていた。