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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 それから数日後。
 私達は隣町にあるマンションにやって来た。
 兄貴達のマンションより少々地味だけど花梨さんが借りている異星人用の5階建てマンションで、入口に止めてあるトラックに大きなダンボールが作業員達により運ばれていた。
 トラックの側では大神さんと花梨さんが立っていた。
 お互い何も喋らず…… いや、何を言って良いのか分からないだろう、ただ俯いたままジッとしていた。
 その様子を私達は遠くから見ていた。

 今回の事で花梨さんは別の惑星に移動する事になった。
 ラピスと呼ばれるその惑星は宇宙平和連合の一角『宇宙警備団』が特別目を光らせている宇宙で最も治安の良い惑星だった。
 確かに妥当かもしれなかった。今回の事で悪いヴォルフ星人にフィーラ星人の存在がバレてしまった。
 いや、ヴォルフ星人だけじゃ無くて悪意を持つ異星人達に狙われてもおかしく無かった。
 
 出発当日、花梨さんはトラックの前で大神さんと向きあっていた。
 事件の後、子供達の記憶は兄貴達が消したのだけど、異星人である彼女の記憶は消す事は出来なかった。
 最初はヴォルフ星人とフィーラ星人と言う間柄、何の会話も無く大神さんはその場を去った。
 そして昨日、突然花梨さんから電話がかかって来て他の惑星に移動する事が聞かされた。
 私達で話し合い、大神さんと花梨さんを2きりにさせようと決めたのだった。
 花梨さんも大神さんに話しがあるようだったので承諾してくれた。
「本当は、分かってたんです、大神さんが他のヴォルフ星人と違うって、でも、私は……」
「構いません、本当の事です」
 大神さんが言うと花梨さんは口を紡いだ。

 2人だけの時間はあっという間に過ぎ、とうとう出発となった。
 花梨さんはトラックに乗り込んだ。
「……お元気で」
「はい」
 大神さんは言うと花梨さんは下目蓋に涙を浮かべて頷いた。
 やがてトラックは走り出し、大神さんはそれを見送った。
 
 大神さんは私達の元へ戻って来た。
 すると兄貴は口をへの字に曲げながら吐き捨てた。
「ったく、お前本当の大バカ野郎だぜ、最後だってのに告白もできねぇのかよ?」
「ちょっと、アンタね……」
 こんな時にまで口の悪い兄貴に文句を言おうとした時、三葉さんが私の肩に手を乗せた。
 どうやら今回は三葉さんも兄貴と同意見らしく、目を細めて口をへの字に曲げていた。
「タクミの言う通りだ。別にセイヴァー・エージェントが恋しちゃいけぇねって決まりはねぇんだぜ」
「そうだよ、カリンさん、本当はバイスの事……」
「もう言うな、これで良いんだ」
 大神さんは不破さんの言葉を遮った。
 これは2人で決めた問題、私達がとやかく言う資格は無い。
 自分達で決めた事なのだからこれが1番なんだろうけど、でも何だか納得できなかった。
「あの人には俺よりもいい人が見つかる…… 俺は何より地球を守るって言う使命があるだろ」
 大神さんはそう言いながら私達に背を向けて歩きだした。
「バイス、どこに行くの?」
「悪い、少し歩いてから帰る」
「ああっ? お前普段より道するなって言ってるクセに……」
「タクミ、そっとしておいてやろうぜ」
「そうだよ、タクミってホントにデリカシー無いんだから」
 不破さんは兄貴の腕を引っ張った。
 大神さんと別方向に歩いている中、私はふと振り向いた。
 多分泣いてるんだろう、強く握り過ぎた拳が震えていた。
 やはり辛いんだろう、背の高い大神さんの姿がとても小さく見えた。