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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 オレ達は花梨さんを護衛していた。
 花梨さんは子供達と供に河原で遊んでいた。
 本当はホテルかどこかにかくまった方が良いんだろうが、彼女が園児達をほおっておけない彼女は残る事を決意した。
 オレ達も彼女を守る為に戦闘派のセイヴァー・エージェントを待機させた。幼稚園から彼女の家から大学までを総動員する事になった。
「ホントにこんなんで大丈夫か?」
 オレはステルス・モードを使い、さらに奴の嗅覚を防ぐ為に消臭剤をかけた。これで視界からも嗅覚からも消える事が出来る。
 さらにファーランも空から、サイモンは宇宙から見張りをしている。
 この作戦は食い意地の張った豚野郎の時と同じだが、奴が同じ作戦に引っ掛かるとは思えなかった。
 するとギルが言って来た。
『これしか無かったんだ。それにこの辺りにいるのは彼女だけ、それに奴は手負い、速攻で決める必要がある』
「そうだな」
 それは分かってる。
 だが嫌な予感がしていた。
 だが頭の中がモヤモヤして上手くまとまらなかった。
『タクミ、気持ちは分かる、だが命令である以上バイスと戦えないのは当たり前だ』
「はぁ? 何言ってんだ。何でオレがあの犬っころの事なんか考えなきゃいけねぇんだよ、オレが考えてんのは舞だけだ!」
 オレの殆どは舞で出来てると言っても過言じゃ無い、って言うか舞こそがオレだ。
 自慢する訳じゃないが舞の魅力を語らせたら多分1日や2日じゃ終わらない、それがオレだ。
『救いようの無いシスコンだな……』
「ああ、オレはシスコンだ。それ以上でもそれ以外でもねぇ」
『開き直るな!』
 相棒に怒られた。
 するとその時だった。
「んっ?」
 するとその時だ。
 1人の園児がある物を持って来た。
 それは小さな白い箱に黒いリボンが巻かれていた。
「せんせ〜、これ〜」
「どうしたの?」
「そこで知らない人が先生に渡してくれって〜」
「えっ?」
 花梨さんは小箱を受け取ってリボンを解こうとした。
 するとギルが言って来た。
『タクミ、あの箱から火薬反応がする、爆弾だ!』
「何っ?」
 オレはステルス・モードを取りやめて走りだすと蓋を開けようとした花梨さんに向かって叫んだ。
「花梨さんっ!」
「えっ?」
 オレは花梨さんから小箱を奪うと思い切り放り投げた。
 そして花梨さんの肩をつかんで身をかがませた。
 小箱が地面に落ちた瞬間、小箱が轟音を立てて爆発した。
「きゃああ?」
 花梨さんは悲鳴を上げた。
「せ、せんせ〜っ!」
 子供達は怯えて泣きだしながら花梨さんの側へ駆け寄った。
 オレは燃え上がる炎を見ながら立ち上がった。
 明らかに花梨さんを狙ってやった事だ。
 奴が動き出した事になる、すると人工衛星と一体化したサイモンから連絡が入った。
『タクミ、後ろだ!』
 オレは振り向いた。
 するとそこには黒いコートと帽子の男がいた。
「あの野郎!」
 オレはザックを睨みつけた。
 すると男は一目散に逃げ出した。
 空からファーランが降下して来て男の前に降り立ち、ビシっと人差し指を突き立てた。
「そこまでよ!」
「ヒッ!」
「鬼さん捕まえた!」
 電線を通ってサイモンも現れ、退路を断った。
 ようやく追い付いてサイモンの横に着いたオレは拳を鳴らした。
「さてと、逮捕と行くぜ」
「バイスをホッとさせてあげるんだから!」
 ファーランはセイヴァ―・アームズを転送して構えた。
「ま、待ってくれ! 話しを聞いてくれ!」
「ん?」
 サイモンは眉を細めた。
 ファーランはお構いなしに突っ込もうとしていた。
「うっさい! アンタの責でバイスが……」
「待て、ファーラン」
 サイモンはファーランを黙らせた。
 足を進めて奴の帽子を取る、素顔を見た瞬間、オレ達は眼を見開いた。
 そいつはザックじゃ無かった。
 50代中場のバーコード頭のおっさんだった。
「こ、こいつがザック?」
「違う、こいつは別人だ」
「マジかよ?」
 オレはおっさんを見た。
 試しにギルをかざして見ると彼は異星人だった。
 おっさんは怯えながら言って来た。
「お、脅されたんだ。彼女にさっきの箱を渡せって…… でも爆弾なんて知らなくて……」
 この反応は尋常じゃ無い、嘘を付いているとも思えない。
 言われてみれば確かにおかしい。
 奴の目的はフィーラ星人の心臓だ。
 爆弾なんか使って木っ端微塵になったら意味が無い。
 って事はつまり……
「陽動か!」
「まずい!」
 オレ達は慌てて花梨さんの方へ向かった。
 
 一方。
「ぐああっ!」
「がああっ!」
 戦闘派のセイヴァ―・エージェントが倒れた。
 匠の言う通り、これはザックの陽動作戦だった。
 爆弾騒ぎがあれば見張りをしているセイヴァー・エージェントの数が判明し、さらに影武者を作れば人員を割く事が出来る。
 ギラついた眼で花梨を見た。
 怯えた子供達を庇いながら身を強張らせた。
『さてと、覚悟はいいか?』
 鮮血の付着した鉤爪をチラつかせながらジリジリと近づくザック。
 すると突然足元が爆ぜた。
『ムッ?』
 するとそこにはかつて自分達の目の前に立ち塞がったセイヴァ―・エージェント達が立っていた。

 何とか間に合った。
 彼女に発信機を持たせて置いたおかげでオレはテレポートを使って駆け付ける事が出来た。
 するとザックはオレ達に向かって顔を顰めた。
『チッ、もう来やがったか』
「世の中、そう上手く行くもんじゃねぇんだよ」
 オレはセイヴァー・アームズを構えてザックに突進する。
 ザックはオレのセイヴァー・アームズを受け止めた。
「早く逃げろ!」
 オレはファーラン達に向かって叫ぶ。
「分かった!」
「みんな、早く逃げて!」
 ファーランは花梨さんや園児達を逃がそうとする。
 だが……
『おっと、そうはいかねぇぜ!』
 そう言いながらザックはオレの刃を払った。
 その瞬間ザックはオレの視界から消えた。
「なにっ?」
 驚いた瞬間、奴は園児達の前に立ちふさがった。
「わあっ!」
 園児達は驚いた。
 奴の移動スピードは異常だ。バイスと同格…… いや、それ以上だった。
 バイス抜きじゃマジでキツい、上層部の連中は命令してるだけだから楽だろうが、こっちはそうもいかない。
 逃げたってまた追い込まれる、となるとこの場で倒す必要があった。
「仕方ねぇ、ファーラン、行くぞっ!」
「うんっ!」
 オレとファーランはセイヴァ―・ギアを使った。
「「セイヴァ―・ギア、オンっ!」」
 前回変身の掛け声にこだわっていたファーランだが、結局オレと同じになった。
 眩い光と供にセイヴァ―・ギアが装着された。
 これでもスピードは上がるから少しはマシになる。
「うおおおっ!」
 オレが突っ込んだ。
 こっちにはスピードは無いがコンビネーションはある、あらかじめこいつの対決用に特訓しておいた。
 まずオレが間合いを詰めて振り上げた刃をザック目がけて振り下ろした。
『くっ!』
 ザックはオレの攻撃を跳んで交わした。