SAⅤIOR・AGENTⅡ
サポーター達は私達を一瞬にして月の裏にある異星人だけの街、通称『サテラ・ベース』に移動させた。
惑星平和条約未登録惑星に滞在する異星人はその惑星の生物に擬態しなければならないが、このサテラ・ベースでは異星人達は本来の姿で活動する事ができる。
最初に来た時は凄く驚いたけど、さすがに来るのが3回目となれば慣れるのは当然だった。
入口で私達は身分を証明して入場する。
この街に入れるのはあくまで異星人かセイヴァー・エージェント、はたまたその協力者だった。
証明書代わりに私の左腕に巻かれているセイヴァー・ブレスが無ければ入る事は出来ない……と言うよりセイヴァー・エージェントのサポーターがいなければここに来る事が出来ない。
もし万が一ここに普通の人間が来れば記憶を消して地球に戻される事になってる。
相変わらず街の中は地球では見た事のない物、さらに地球の漫画やアニメ、映画などの吹き替え版(宇宙語)などが置いてあった。
私達がまずやってきたのは花屋さんだった。
見た事も無い植物や花が植えられた鉢が置いてあり、店の前では1人の女性が花に水を与えていた。
緑の踵まである長い後ろ髪、前髪は中央から左右に分けて白い肌から昆虫の触覚が生え、赤い瞳に黒い服に白いエプロンをかけていた。
「こんにちは」
私は彼女に声をかける。
彼女はここの店主のシエラさんだった。
シエラ3葉透き通るような声で答えて来た。
『あら、貴方達』
「どうも、今日は非番なんで遊びに来ました」
「ルーシーちゃんいますか?」
『ええ、ちょっと待ってね』
シエラさんは店の中に入ると1人の女の子を連れて来た。
シエラさんをそっくりそのまま幼くしたような感じのこの子は1人娘のルーシーちゃんだった。
このルーシーちゃんとは初めてこの街に来た時、不破さんの夏風邪の薬を買いに来た時に知り合った。
『あ、お兄ちゃんとお姉ちゃん!』
「やあ、ルーシーちゃん」
「遊びに来たわよ」
私達はルーシーちゃんに挨拶をする。
それから私達はルーシーちゃんを連れて3人で街の中を歩いた。
シエラさんのお店が小さくなるくらい歩くと突然兄貴が足を止めた。
「さてと、これからどこに行こうか」
「え、まさか決めて無かったの?」
「ああ、お前を誘うのに必死でさ……ルーシーちゃん、どこか行きたい所無いか?」
結局人任せか。
ルーシーちゃんは左右に首を振ると空に向かって指差した。
『あそこに行きたい』
ルーシーちゃんの小さな指の先には巨大なモニターが浮かんでいた。
そのモニターにはトあるビルと沢山の人形が写っていた。
『今ね、あそこで『宇宙の人形展』ってのやってるんだって、お母さんお仕事で忙しいから行く事が出来ないって……』
「よぅし決まったぁ! それじゃ行こうか!」
『わ〜い!』
兄貴が右拳を天井高く付きあげるとルーシーちゃんはそれに釣られて拍手をする。
(……子供が二人)
私は心の中でそう思った。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki