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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 状況はヤバいようだった。
 バイスはボロボロにやられてる、花梨さんが無事だってのがせめてもの救いだな。
 オレ達の姿を見たザックは顔を顰めて舌打ちをした。
『チッ、新手か…… まぁ、テメェ等は遊べるみてぇだな』
『そいつはどうかな?』
 するとオレのポケットが発光し、一筋の光が飛び出すとサイモンとなると同時にセイヴァー・アームズを相手に向けて発砲した。
「β・モードっ!」
 赤いエネルギー弾が放たれると狼野郎の右肩を貫通した。
『ガアアッ!』
 赤い血飛沫を撒き散らしながらよろけて後退するヴォルフ星人。
 やっと腕が抜けたファーランもセイヴァー・アームズを転送してもらい、オレも自分のセイヴァー・アームズを構えて臨戦態勢を取った。
 その姿を見たヴォルフ星人は状況がヤバいと判断したんだろう、舌打ちをしながらオレ達に背を向けた。
『クソっ!』
「あ、待ちなさいよ!」
 ヴォルフ星人がビルの屋上を飛び越えながら逃走するとファーランは翼を広げて飛翔して後を追いかけた。
 残されたオレは腰を抜かして座りこんでいる花梨さんを、サイモンは倒れているバイスの元へ駆け付けて片膝を付いた。
「大丈夫っスか?」
「え、ええ……」
 花梨さんはオレの顔を見ると首をうなだれた。
「バイス、しっかりしろ!」
「ううっ……」
 バイスは激痛に低く唸る、だが意識はあるみたいだ。
 サイモンはバイスに腕を回すとオレ達の方へ歩き出した。
 だが数歩歩いたその時だった。 
「来ないでっ!」
 花梨さんは大声でバイス達…… いや、正確に言えばバイスを見た。
 そして震えながら眉間に皺を寄せ、眉を吊り上げながら言い放った。
「……嘘付き、騙してたのね!」
「ちょ、待ってくれ花梨さん、こいつは……」
「いやっ、聞きたくない! そいつは…… そいつは悪魔よ!」
 悪魔……
 その言葉を聞いた瞬間、バイスは顔を顰めて顔を背けた。

 それからすぐ千鶴ちゃんが要請した探索派のセイヴァー・エージェント達がかけつけて花梨さんは保護された。
 ファーランも奴を見失い、オレ達も撤収する事にした。
 サロンでオレ達は今回の事をおさらいしていた。
「奴の名前はザック、フィーラ星を滅ぼしたヴォルフ星人よ」
 千鶴ちゃんのパソコンに液晶画面に奴の姿が映し出された。
 噂には聞いていた。
 フィーラ星人は地球に良く似た環境の惑星で、自然と供に生き、自給自足を行う少数民族だった。
 しかしザック引きいるヴォルフ星人の一団に滅ぼされた。
 その目的は『ブラウティア』と言う宝石だった。
 宇宙でも指折りの高価で名高い宝石がある、その宝石の正体はフィーラ星人の心臓だった。
 その為にフィーラ星は様々な異星人達に狙われ続け、とうとう12年前に母星を失い散り散りとなった。
 地球に逃げて来たフィーラ星人は彼女を含めて十数人、残りの人達は事件の内容が発覚した事で戦闘派のセイヴァー・エージェントが警護に当っている。
「貴女達にも彼女の警護に当たって貰うことになったわ…… バイス以外はね」
「ちょ、どう言う事よ、チヅルちゃん?」
「バイスだけじゃないわ、バイスを含む全てのヴォルフ星人が今回の任務には関われないわ」
「理由はヴォルフ星人だからか?」
 オレは言うと千鶴ちゃんは頷いた。
 フィーラ星人にとっちゃヴォルフ星人は忌むべき存在だ。
 被害者に対する最大限の配慮と言えば聞こえは良いが、実際はセイヴァー・エージェントの全体に関わる問題だ。
 ヴォルフ星人を警護に回してクレーム付けられたらセイヴァ―・エージェントの名前に傷が付く、上層部はそうならない内にザックを見つけ出して逮捕しちまおうって腹だ。
「おいおい、そのヴォルフ星人が相手なんだぜ、無茶過ぎねぇか?」
「そ〜だよ、アタシ達の所に来たら勝てる保証は無いよ!」
 ファーランは顔を顰めた。
 そう考えているのは皆同じ、千鶴ちゃんだって分かってる、現に眉をひそめて悔しそうな顔をしていた。