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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 保健室は暖房が付いているので休み時間は避難するようにしている。
 特に今は放課後なので帰るまで少し休んでいた。だけど……
「了解、予定道理だな」
 三葉さんは目の前のノートパソコンを見ながらスマホの向こうの不破さんに言い返した。
 一度通話を切ると次に画面のアプリを押す、すると画面に街の地図が映し出され、その1ヶ所に光が点滅ながら動いていた。
「バレてはねぇみたいだな」
「ああ、オレ様がさりげなく張り付けといたからな」
「あの…… 本当にこんな事して良いんですか?」
 私は尋ねた。
 実は最近大神さんの様子がおかしかった。
 兄貴達の話じゃ掛け持ちしている全ての格闘技系のクラブの練習を断り、帰って来るのも夜の7時頃になると言う。
 話しを聞いても『答える義理は無い』とか『プライベートの侵害だ』とかしか言い返して来ないらしい。
 別に任務以外は何をしようと勝手だけど、確かに私も気になった。
 でもあくまで『気になる』と言うレベルで、人の秘密を調べるのもどうかと思った。
 言っちゃ悪いけど、大神さんは不破さんや三葉さんと違う、まして兄貴は特に信頼が無い。
 いつテレポートで私の寝室に忍び込んで来るか分からない、そうなったら絶対に通報してやる。
 その兄貴が言って来た。
「別に良いだろ、あの犬っころの弱みを握るチャンスだぜ」
 兄貴は妖しい笑みを浮かべながら右手を強く握りしめた。
 いくら犬猿の仲だからってこんな邪悪な顔が出来るとは思わなかった。
 大神さんは鼻が効くので追跡する事が出来ない、と言う事で三葉さんが作り出した発信機を取り付けておいたと言う。
「弱みはともかく、オレ様も隠し事されるのは嫌いだな」
 三葉さんは別に気を悪くしたと言う訳ではないだろうが、少々残念な感じでため息を零した。
 2人は親友同士だから、秘密を持つなとは言わないだろうが、せめて一言言って欲しかったんだろうな。
 そんな事を考えていると保健室の扉が開いて不破さんがやって来た。

 私、兄貴、不破さんと供に三葉さんの後ろでスマホの画面に映る大神さんの行方を見ていた。
 大神さんは商店街の店を入ったり出たりしていた。
「あ、止まった」
「あれ、動きだしましたよ」
「また止まった…… 一体何してんだ?」
「買い物でもしてるんじゃない?」
「立ち寄った場所は…… ケーキ屋と玩具屋だな」
「あいつがケーキと玩具ぁ? ありえねぇ、あいつ甘いモン苦手なはずだぜ?」
 兄貴は顔を顰めた。
 それ以前に玩具も信じられなかった。
 あの人が何か玩具を買う?
 車とか人形とか持って笑いながら遊ぶ大神さんを想像できなかった。
 すると不破さんが両手を合わせた。
「分かった。誰かにプレゼントするんだよ」
「誰かって誰だ? まさか彼女でもできたってのか? ありえねぇ〜」
 兄貴は両手を上げた。
「そんな事ないじゃん、バイスって目付き悪いけど結構人気あるんだよ、彼女の1人や2人できてもおかしくないでしょ」
 不破さんは両手の指を重ねて祈るように目を輝かせた。
 ドラン人でも不破さんは女の子だ。やっぱり恋話とか好きなんだな……
 しかしそれでも兄貴は否定した。
「いやいやいや、冗談にしても笑えねぇよ…… 今月の給料かけても良いぜ」
 兄貴口悪過ぎ。