SAⅤIOR・AGENTⅡ
それから数日後。
不破さんはすっかり回復し、いつもの生活に戻った。
「変身っ! ……じゃない、ドラゴン・チェンジっ! ってのもなぁ……」
トレーニング・ルームでは不破さんが悩んでいた。
何でもセイヴァー・ギアの装着の掛け声と変身ポーズを決めてるそうだ。
この前はあれだけグズってたクセに……
「ま、一旦慣れちまえばって奴だな…… 基本的特撮も好きだからな」
「変身は興味無いって言ってたわよ?」
「興味は無いが嫌いとは言って無いだろ、あいつはそう言う奴だ」
「要するにわがままって事ね」
私は顔を顰めた。
何とも釈然としない結果だった。
本当なら私が説得してセイヴァー・ギアを使わせるようにしなければならなかった。
でも結果、不破さんがセイヴァー・ギアを受け入れたのは里中先生との約束だった。
すると三葉さんが言って来た。
「今回の事は妹に感謝だぜ、おかげで問題解消出来たんだからな」
「いや、私は何も……」
「謙遜すんなって、オレ様が褒めてんだから素直に喜んどけ」
「は、はぁ……」
私は苦笑する。
随分態度の大きい感謝に正直喜べなかった。
私はため息を零すと再び不破さんを見た。
相変わらず嬉しそうに叫んでいる不破さんを見ると自然と口の端が上がった。
(ま、良いか……)
私は心の中でそう思った。
作品名:SAⅤIOR・AGENTⅡ 作家名:kazuyuki