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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 翌日。
 その日1日不破さんは学校に来なかった。
 兄貴の話じゃ意識は元に戻ったのだけど、まだ完全回復には時間がかかるらしい。
 昼休みの保健室で兄貴が言って来た。
「あいつ、大人しくしてりゃ良いんだけどな」
「無理だな、あいつに『大人しくしてろ』なんて、タクミに『妹にセクハラするな』って言うのと同じだしな」
「バカ野郎! セクハラじゃねぇ、スキンシップだ!」
「バカはアンタだっ!」
 私は叫んだ。
 言ってる事が違ってもやってる事は同じだ。
 三葉さんも早い話が不可能と言いたいんだろうけど、私を例えに出す必要がどこにある? 必要性が皆無だ。
 そんな事を考えていると壁に背を持たれている大神さんが里中先生に尋ねた。
「班長、奴の動きはまだ分からないんですか?」
「ええ、未だ連絡は無いわ…… 奴の動きを検索した結果、結構な場所が襲われているわ」
 里中先生はディランの経歴を見る。
 地球に来て初めての犯行は半年前、桜星町からかなり離れた街で現金輸送車を襲った事だった。
 生きて行くにはお金が必要だったのだろう、でもその時に現金輸送車が破損して流れたガソリンで自分がパワーアップできる事が分かったと言うのが探索派のセイヴァー・エージェントからの結論だった。
「ガソリンから美味そうな匂いがしてたってのか?」
「俺には正直信じられん……」
「好みなんざ人それぞれだよ」
「それ以来ガソリンを狙った犯行が増えてるわね、最初の事件から場所を変えてこの桜星町にたどり着いたって訳ね…… だとしたらまずい事になるわね」
「どう言う意味だよ」
 兄貴は首を傾げた。
 里中先生は間を開けて説明して来る。
「ガソリンはザウロ星に咲いているディーバスと言う植物と似た成分が含まれているの、摂ると一時的に爆発的な身体能力を得るのだけど…… それと同時にザウロ星人に取って麻薬みたいな物なのよ」
「麻薬って事は…… 禁断症状が出んのか?」
「ええ、主に脳細胞が異常を起こして理性を失い暴れ出すわ…… でもガソリンはディーバスと似た成分があると言うだけで全くの別物よ、摂り続けた結果がどうなるのか想像できないわ」
「要するに何が起こっても不思議じゃないって事か」
「早めに検挙する必要があるな……」
 大神さんが両腕を組んだその時だった。
 里中先生の携帯電話に連絡が入った。
「良かった。探索派からよ…… はい!」
 里中先生が電話に出る。
 すると里中先生の顔が強張った。
「……分かりました」
 静かに通話を切る里中先生は早速兄貴達に言った。
「良い知らせと悪い知らせがあるけど、どっちから聞きたい?」
 それを聞いた兄貴達は顔を見合わせた。
 私も出来れば良い知らせだけ聞きたいのだけど、そうは問屋が降ろさなかった。
 良い知らせと言うのはディランの居場所が判明した事だった。
 そして悪い知らせと言うのが……