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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 不破さんは重傷だった。
 大急ぎでセイヴァー・ベースへ戻って来るとメディカル・ルームへ連れて行き、メディカル・マシンに収容した。
 現在治療を受けてはいるが、それでも完全回復には時間がかかるらしい。
 私達はサロンでディランの事を調べていた。
「ザウル星人にあんな力があったのか? ファーランがあそこまでボコられるなんて信じられねぇ……」
「妹の話によるとガソリンが原因らしいぜ、どうやら地球のガソリンは連中にとっちゃ精力剤みたいなもんらしいな…… こりゃちょっとした大発見だぜ」
「感心してる場合か、問題はどう検挙するかだ」
「確かにね…… ディランはガソリンで自分がパワーアップ出来る事を知って、ガソリンを狙ってたって訳ね」
 里中先生は顎に手を当てた。
 確かに今回の検挙は難しそうだ。
 ディランはパワーだけでなくスピードも上がっていた。
 スピードなら兄貴や大神さんで何とかなるかもしれないけど、パワーだと向こうの方が圧倒的に上だ。
 直接ぶつかるのは危険すぎると言う事で兄貴達はロンに録画されていたデータを見ながら様々な面での作戦を考えた。
 そして1つの結論に達した。
「これがドーピングによる物なら…… 時間が立てば効果は抜けるって事じゃないのか?」
「持久戦って事か? 持続時間がどれくらいか分からねぇだろ」
「いや、そう長くはねぇみたいだぜ」
 三葉さんは言って来た。
「何でそんな事が言えんだよ?」
「じゃあ聞くが、あの旦那はオレ様達が到着した時にどうして逃げた?」
「……確かにな、あれだけの力なら逃げる必要は無いな」
「頭が筋肉で出来てる野郎どもは深く考えねぇからだろ?」
「結論は出た様ね、じゃあ作戦はそれで行きましょう」
「「「了解!」」」
 兄貴達は一斉に立ち上がった。

 ディランが発見されるまで兄貴達は待機となった。
 部屋を出て行く兄貴達、私も不破さんの様子を見に行こうとしたのだが、サロンに1人腰を降ろしたままの三葉さんが気になった。
「三葉さんはどこかに行かないんですか?」
「ん? ああ…… ちょいと考え事をな、どうもファーランのセイヴァ―・ギアが上手く出来無くてな……」
 三葉さんは顔を顰めて頬杖を付いた。
 こんな三葉さん初めて見た。
 珍しくスランプみたいだった。
 私はデパートで不破さんの言った事を思い出した。
『私にはセイヴァ―・ギアは必要ない』
 でも今回の様な状況を考えると本当に要らないのかどうか考えてしまう。
 もしも不破さんにセイヴァ―・ギアがあったらこんな事にならなかったんじゃないかと……
 でもそれは三葉さんも同意見だったらしい。
「ドラン人の生命エネルギーが強すぎんだよなぁ、セイヴァー・ギアのエネルギー回路と同調したエネルギー質量が多けりゃギアの方が耐えられないしこの前の二の舞だ。とは言え少なすぎりゃ役にもたたねぇし……」
「多すぎるんなら減らせば良いんじゃないんですか?」
 考え事をしながらブツブツ言う三葉さんに私は言ってみた。
「あ? どう言う意味だ?」
「いえ、深い意味じゃないですよ…… ホラ、例えば水筒の水だってこれ以上入らないなら中身を少し減らせば入れられるじゃないですか」
 私は苦笑しながら言う。
 勿論本気じゃないし、根をつめた三葉さんに対してのホンの冗談のつもりだった。
 すると三葉は真剣な顔をしながら目を見開いた。
「……そうか、その手があったか!」
 三葉さんは立ち上がった。
「妹、お前やっぱり天才だぜ」
「えっ?」
 首を傾げる私の肩に手を乗せながら三葉さんはサロンを出て行った。