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SAⅤIOR・AGENTⅡ

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 翌日。
 今日は日曜日、私は駅前のデパートでやっている洋菓子店のケーキ・バイキングが開かれていた。
 先日里中先生が家に来て……
『妹さんもたまには遊んだら?』
 と言われてここのチケットを貰った。
 里中先生は探索派と医療派のかけもちなので私の家を探してもおかしくは無い、それは構わない。
 それに私だって女の子だ。ケーキや甘い者は大好きだ。それは嬉しい…… 勿論タダじゃなかった。
「ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつくっ!」
 目の前にはケーキを物凄い勢いで貪る不破さんがいた。
 チケットを貰う代わりにセイヴァー・ギアの事でヘソを曲げた不破さんの愚痴を聞いてあげるのが条件だった。
 でも正直チケット1枚じゃ割に会わなかった。
 この怪獣みたいな不破さんをどうやって説得したら良いのか分からなかった。
 周囲も凄い目で不破さんを見ている、勿論その中に含まれてる私まで怪獣と同格だった。
「ったく、サイモンのイカレ野郎…… アタシを何だと思ってんのよっ!」
 酷い言われようだ。
 私も兄貴を『バカ兄貴』って言ってるから人の事は言えないけど……
 不破さんは基本的に誰の話しも聞かない、だけど仲が良い同世代の女子…… 特に異星人と言う事情を知っている私の言う事なら聞いてくれると思ったんだろう。
 確かに事の原因である三葉さんじゃ無理だし、真面目過ぎる大神さんじゃ返って逆効果、ましてデリカシーの無い兄貴じゃ問題外だ。
「で、でも以外ね…… 不破さんって変身とか好きそうなのに」
「興味無い、変身ならもうしてるし…… 大体セイヴァー・ギア可愛くないし」
「……そう言う問題なの?」
「そう言う問題だよ!」
 なんて偏屈な……
 でも考えてみれば今の不破さんの実際は巨大な龍で、今の姿は兄貴が昔やってたギャルゲーのキャラをトレースした姿だった。
 しかし重要なのは能力であり、見た目じゃ無い…… と言いたいけど、作るのがあの三葉さんだと言う事を思い出した。
 あの人の事だから特撮の悪役みたいな物を作るだろう、兄貴のは普通に作ってくれたみたいだけど……
「大体、アタシにセイヴァー・ギアなんていらないでしょう!」
 不破さんは断言した。
 確かに不破さんや大神さんは部分開放すれば殆ど無敵に近かった。
 ちょっと前にオメガと戦った時にズタボロにやられたらしいけど、私には想像できなかった。
「とにかく! チヅルちゃんに何吹きこまれたのか知らないけど、アタシ絶対いらないんだからね!」
 バッチリ見抜かれていた。
 結局無理だった事に私はため息を零した。
(里中先生すみません、無理でした)
 私は心の中で謝罪した。

 しばらくして私達はデパートを出た。
 ヤケ食いと愚痴を零した事で不破さんの機嫌はある程度収まったみたいだった。
 だけど私は里中先生にどう言い訳すれば良いのか分からなかった。別に気にはしないだろうけど……
 そんな事を考えている時だった。突然私達の耳に何かがぶつかるような音が聞こえて来た。
「何?」
 私は振り向く。
 そこには黒い煙が立ち込めていた。